コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.20,No.79

コロナ後のサプライチェーンのあり方ー脱「中国依存」は正解か

2020年11月10日 三浦有史


中国から部品を輸入しているわが国自動車メーカーは、新型コロナウイルスの感染拡大により、綱渡りの調達を強いられるなど、サプライチェーン寸断のリスクが改めて注目されることとなった。一方、グローバルなサプライチェーンを活用して生産されているスマートフォンはこのリスクが表面化することはなかった。

わが国では、経済安全保障の観点から政府が生産拠点の国内回帰や多元化を支援しているものの、中国に進出したわが国企業は国内回帰や第三国への移管に前向きとはいえない。アメリカはわが国よりも政府と企業の温度差が大きく、回帰促進策は空振りが続いている。一方、欧州は政府、企業ともに冷静で、新型コロナウイルスより米中対立の方がサプライチェーンに与える影響が大きいとみている。

脱「中国依存」がなかなか進まない理由としては、“集積が新たな集積を呼ぶ”「ロックイン効果」が挙げられる。同効果が強く働いていることは、米中貿易摩擦が激化するなかでも中国の輸出が減少していない点からもわかる。アメリカの輸入は中国から中国以外の低コスト生産国にシフトしているものの、それは多分に最終積出港が変わっただけのみせかけの脱「中国依存」である。また、サプライチェーンにおける中国の重要性は供給側だけでなく、需要側からみても急速に高まっている。

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、サプライチェーンを脅かすリスクとして感染症が重視されるようになった。同ウイルスは消費行動を大きく変化させる点、“終わり” がみえない点で従来の感染症とは異なる、最も深刻なリスクといえる。一方、過去30年でサプライチェーンが飛躍的に広がるなど、サプライチェーンそのものが大きく変化したことも、影響を深刻なものにした。

withコロナ時代のサプライチェーンのかたちを決定する要因として、①需要ショックが長期化する、②中国は感染拡大防止に成果を上げており、生産機能の回復は早く、今後もがそれが損なわれる可能性は低い、③感染症は自然災害と異なり生産設備の毀損を伴うものではないため、中国をはじめとするアジア諸国はサプライチェーンの回復が早い、という3つが挙げられる。

サプライチェーンのかたちを決定する要因が変化するのに伴い同チェーンにおける中国の位置づけも変化する。そこでは中国をチェーンの中心に引きとどめる求心力と、中心から遠ざける遠心力が働く。わが国企業は脱「中国依存」を選択した場合になにを失うかを踏まえたうえで、「望ましいサプライチェーン」のあり方を慎重に検討する必要がある。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ