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リサーチ・アイ No.2020-040

コロナ禍における地方銀行の経営体力をどうみるかー 簡易的な信用コストシミュレーションでは相応の耐性を確認 ー

2020年10月22日 大嶋秀雄


コロナ禍を受けて企業業績は大幅悪化し、特に中堅・中小企業では本年4~6月期の営業利益が前年同期比▲95%減少した(図表1)。キャッシュフローの悪化から企業借入が急増するなか(図表2)、今後コロナの悪影響が長期化すれば、返済負担に耐え切れず倒産する企業が増加する恐れがあり、中堅・中小企業向け貸出が多い地方銀行への影響が懸念されている。

そこで、信用コスト率がわが国の金融危機時ピーク(98年度、図表3)まで上昇したケース(シナリオ①)の地方銀行102行の健全性(自己資本比率)への影響を簡易的に試算したところ、全行が規制要件(図表4脚注参照)を確保し、地方銀行が信用コスト上昇に対して相応の耐性を備えているとの結果になった(図表4)。

加えて、信用コスト率が2年連続で高止まりしたケース(シナリオ②)の試算も行ったところ、5行が規制要件を割ったものの、規制要件対比の自己資本不足額は約3兆円にとどまり、本年8月に拡充された金融機能強化法の支援枠(15兆円)の範囲内に収まった。

もっとも、全行同条件の簡易的な試算であり、個別ケースでは大口融資先の経営不振等で健全性が悪化する地方銀行が増える可能性はある。また、コロナ禍を乗り越えても、地方銀行は構造的な収益力の低下に直面しており、ビジネスモデルの見直しが急務であり、再編を含めた今後の動向が注目される。


コロナ禍における地方銀行の経営体力をどうみるか(PDF:303KB)
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