近年、地域間格差の拡大が指摘され、地域の自立につながる社会・経済構造の構築が全国的な課題となっています。また、財政健全化法の施行により、第三セクター等を含めた財政指標が導入されることから、第三セクターの経営状況が今後の自治体の財政運営に大きな影響を及ぼすことが想定されます。このような状況を受けて、政府は今国会に、「地域力再生機構(仮称)(以下「地域力再生機構」とする)にかかる法案を提出しており、第三セクター及び地域の中規模企業の経営改善を支援することとしています。 そこで、弊社では地方自治体及び第三セクター(商法法人のみ)に対して、地方自治体の第三セクターの経営状況に対する認識や、今後の対応、さらには、地域力再生機構に期待されること等についてアンケート調査を実施し、今後の対策のあり方について提言しました。 |
【調査結果概要】 |
◆出資している三セクの経営状態の評価・点検を行っている自治体は2割足らず。約半数は総務省からの基準待ちで、2割超は「行う予定はない」と回答。 ◆4割以上の自治体が「経営改善が必要な商法法人の三セク」を抱えている。約3割の自治体が地域力再生機構の仕組みが経営改善に有効であると考えているものの、過半数が「分からない」と回答。 ◆地域力再生機構の活用を予定、活用を検討(予定)している三セク(112企業)のうち、業務分野別では「観光・レジャー分野」が約半数を、地域別では「北海道・東北」が約3割を占めている。 ◆地域力再生機構に対する自治体側の主な期待は、「経営改善に係る専門家の派遣」や「事業再生に係る資金支援」「事業再生計画の策定支援」。 ◆三セク経営改善で必要なこととしては、「経費の削減」や「マーケティングの改革」との回答が上位。一方、「雇用の確保」と「住民へのサービス水準の確保」は経営改善の際の留意事項。 |
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≪ 目 次 ≫ |
Ⅰ 調査結果
- 三セクの経営状態について、積極的に評価・点検している自治体の割合は高くはない
- 経営改善が必要な三セクに対する処方箋としての地域力再生機構の認知度の低さ
- 業務分野別では観光レジャー、地域別では北海道・東北で地域力再生機構への期待
- 地域力再生機構に求められる経営改善ノウハウと計画策定能力の発揮
- 効率性と雇用の確保、住民へのサービス水準の確保が三セク経営改善のカギ
Ⅱ 提言
- 自治体は進んで三セクの評価・点検を
- 一刻も早く三セクの復活モデルを示す
- 三セク再生のビジョンを共有する必要性
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