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2008年03月12日

リバースモーゲージ普及に向けて ~官民連携のリスクマネジメントで市場創造を~

要旨
1.潜在ニーズが高まるリバースモーゲージ市場
 近年、経済環境が悪化するなか、わが国の高齢者世帯では恒常的な日常生活費の不足に加え、入院や介護施設入居・在宅介護といった不測の事態に対する備えを確保することが困難なケースも少なくない。もっとも、高齢者世帯の約8割は住宅を所有していることから、多くの場合、リバースモーゲージの利用によって、そのような経済的な困難を解消することが可能である。今後を展望しても、老後資金不足が懸念される高齢者は一段と増加すると見込まれ、リバースモーゲージの必要性は、低所得層のみならず、下位中間層など保有金融資産の少ない世帯を中心に高まる公算が大きい。
 しかしながら、今日のわが国におけるリバースモーゲージの普及度合いをみると、国や一部の地方自治体のほか、少数の金融機関によって提供されているにすぎない。サービス内容は限定的なうえ、サービスの提供対象者も都市部居住者や高額の住宅資産保有者などにとどまっている。
2.連邦政府によるリスクマネジメントが米市場を拡大
 翻って、リバースモーゲージの先進国といわれる米国をみると、80年代半ばまでは、長生きリスク、金利上昇リスク、評価額下落リスクといった、リバースモーゲージ特有の事業リスクを十分に管理できなかったため、事業として普及せず、高齢者が必ずしも利用できなかった。こうした状況を打開するため、連邦政府は、民間金融機関がサービスを提供する一方、住宅都市開発省を中心とする政府関連機関が一元的に事業リスクをマネジメントしサービス提供企業をサポートするといった官民連携のシステムを整備した。同システムでは政府関連機関が複数のヘッジ手法を用いて事業リスクを全面的にヘッジすることから、貸出機関がリスク管理に係るコストを節減できるうえにほぼ全ての事業リスクを回避できるため、民間サイドでも積極的に利用者拡大が図られた。こうした取組を経て、米国のリバースモーゲージ市場は着実に拡大した。
3.わが国でもリスクマネジメントで市場創造を
 わが国では、老後資金に不安を抱える高齢者の増加に伴いリバースモーゲージの必要性が一層高まると見込まれるなか、リバースモーゲージの普及は喫緊の課題であり、事業化の阻害要因となっているリスクのマネジメント体制を早急に整備する必要がある。そうしてみると、米国における取組は、同国において住宅市場が変調を来しており今後システムの見直される可能性があるものの、未だリバースモーゲージ市場が同国の数百分の一にすぎないわが国にとって大きな示唆になろう。具体的には、現行の国の制度にサービス提供者として民間金融機関を取り込むとともに、政府機関の下にそれらの債権を集約して一元的にマネジメントすることが必要である。もっとも、少子高齢化の進展を背景に住宅市場の伸び悩みから不動産価格が低迷する可能性は否めず、融資限度額に対する評価額の掛け目を低くする、定期的に評価額を見直すといったこれまでの手法も継続すべきである。
   
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