米連邦預金保険公社(FDIC)が公表した米銀全体の本年4~6月期決算によると、ネット金利収入の減少、クレジットコスト増加により、当期純利益が前年同期比▲73%減少。
銀行の規模別にみれば、資産規模が2,500億ドル超のメガバンク、100~2,500億ドルの大手地銀や大手外銀等では、ボトムライン収益の減少によりROEが低下する一方、中小・小規模の地銀のROEは、コロナ危機前とほぼ同水準で推移。
大手行のROE低下は、中小地銀と比較して大企業向けの短期貸出の割合が多く利鞘の縮小が先行して進んだほか、将来の損失予測を織り込んで貸倒引当金を計上する新しい会計基準(CECL)を導入した銀行も多いため、クレジットコストが膨らんだもの。
もっとも、投資銀行ビジネスやウェルスマネジメントビジネスなど、幅広い事業ポートフォリオを有する大手行に対し、中小地銀は、預貸ビジネスに依存しており、収益基盤が脆弱。今後、クレジットコストの増加やゼロ金利政策の長期化による利鞘縮小が見込まれるなか、わが国と同様に中小地銀は構造的な収益性悪化に直面する可能性。
中小地銀の財務悪化に伴い金融仲介機能が低下する恐れや、収益性向上のために高リスクの貸出などに傾注する可能性を含め、米国地銀セクターの今後の経営動向には留意が必要。
懸念される米国地銀セクターの経営動向 ー コロナ影響の顕在化により、構造的に収益性が悪化する可能性も ー(PDF:237KB)
