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リサーチ・フォーカス No.2020-017

新型コロナの感染拡大が止まらないインド~留意すべき経済・社会の不安定化リスク~

2020年08月14日 熊谷章太郎


インド経済は、ロックダウンの緩和により最悪期を脱しつつある。しかし、以下のリスクを抱えるなか、経済・社会は当面不安定化しやすい状況が続くと見込まれる。

第1に、医療体制の逼迫リスクである。新型コロナの感染拡大が続き、患者への適切な医療サービスの提供が困難になれば、社会が不安定化する恐れがある。一方、医療崩壊の回避に向けてロックダウンを再び厳格化する場合も、景気悪化や失業問題が再燃することになるため、政府は難しい判断を迫られることになる。

第2に、金融システムの不安定化リスクである。景気回復ペースが緩慢ななか、商業銀行の不良債権比率の上昇と自己資本比率の低下、ノンバンクの資金調達環境の悪化などにより、信用不安が広がる恐れがある。それに対応して、金融機関が貸出態度を厳格化した場合、経済成長は資金供給面から制約されることになる。

第3に、財政悪化リスクである。景気悪化による税収減少、新型コロナ関連の医療費増加、金融システムの安定化に向けた公的支援などにより、財政赤字は大幅に拡大すると見込まれる。財政悪化は、国債増発を通じて金利上昇圧力をもたらし、投資や耐久財消費を下押しするとともに、インフラ整備など中長期の経済成長に必要な取り組みに関わる予算拡充の逆風となる。

その他にも、蝗害(バッタの大量発生による農業被害)、中国との対立、国内の民族問題などのリスクがあり、当面下振れやすい状況が続くとみるべきであろう。



新型コロナの感染拡大が止まらないインド~留意すべき経済・社会の不安定化リスク~(PDF:1148KB)
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