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リサーチ・レポート No.2020-018

欧米主要行の2020年上期決算 ~コロナ危機の影響を踏まえた金融システムへの示唆~

2020年08月07日 佐倉勲、谷口栄治


欧米主要行の2020年上期決算は、コロナ危機の影響が実体経済から金融システムにどのように波及するかを見極める観点からも注目されていた。決算から見えた特徴は以下の通りである。

ネット金利収入減少や信用コスト増加等により商業銀行ビジネスに逆風が吹く一方、投資銀行ビジネスやトレーディングが好調となるなど、ビジネスポートフォリオによって明暗が分かれる結果となった。

ネット金利収入の減少については、利下げを受けた利鞘縮小の影響が大きく表れた。今後も、貸出残高の増加や利鞘の回復は見込み難く、ネット金利収入には下方圧力がかかり続けると見込まれる。一方、投資銀行ビジネスやトレーディングの好調は一時的であり、下期は平準化するとの見方が大宗となっている。

欧米銀ともに多額の信用コストを計上したものの、米銀を中心に、会計基準の見直しを受けて、予防的に引当を積んでいる影響が大きい。今後の状況次第で、追加引当、引当の戻りの両面の可能性がある。

資金需要が増大する一方、リスクアセットの伸びは限定的となった。米国では、社債調達が急増し、銀行借入を代替しているほか、欧州では金融規制緩和による影響が指摘されている。

資本政策については、欧米とも自社株買いの停止が要請されているほか、英国やユーロ圏の大手行では、配当も停止している。こうした株主還元の抑制が、株価低迷の要因になっている可能性もある。

こうした主要行の決算動向には、欧米のみならず、わが国の金融機関経営や金融システムの安定性を考えるにあたって、次のような重要な示唆が存在する。
①金融システムの安定性の観点からは、金融機関のビジネスポートフォリオの多様化を促進すべき
②信用劣化に備えるとともに、厳しい環境下にある地域金融機関の経営動向を注視すべき
③バランスシート制約による金融仲介機能低下を回避するため、プロアクティブな政策対応も検討すべき


欧米主要行の2020年上期決算 ~コロナ危機の影響を踏まえた金融システムへの示唆~(PDF:1,636KB)
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