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リサーチ・アイ No.2020-026

抗議デモで米大統領選はバイデン候補が有利に

2020年06月23日 野田一貴


米国では、黒人男性の暴行死事件に抗議するデモが拡大。この背景には、世界最多となった新型コロナの感染者数とそれに伴う大量失業が社会に与えたダメージに加え、米国社会に根深く存在する人種差別や経済格差(富・雇用格差)の問題も。

富の格差問題は、2009年から10年間続いた景気拡大局面においても改善されず。米国での純資産の分布をみると、上位1%の富裕層の純資産シェアが下位90%の純資産シェアを上回るほど、一部の富裕層に富が集中。また、富裕層への富の集中はトランプ大統領が就任した2017年以降も継続。一人当たり純資産をみても、2019年時点で白人は黒人の4.5倍の規模。

雇用の格差問題も深刻。フルタイム労働者の収入をみると、2019年時点で黒人・中南米系の収入は白人に比べ約30%低い水準。失業率も、新型コロナに伴う大量失業が発生する前の時点で、白人・アジア系に比べ黒人・中南米系の失業率が一貫して高い傾向。加えて、新型コロナの発生後は、白人の失業率が4月から5月にかけて14.2%から12.4%に改善したのに対し、黒人・中南米系では高止まり。

今般の抗議デモに多くの白人が参加しているように、人種差別問題に対して一部の白人層から抗議の声も。白人層における世論調査では、米国が誤った方向に向かっていると回答した率が、5月から6月にかけて増加。

2020年11月に控える大統領選に向けて、抗議デモの動きは黒人からの支持が高いバイデン氏にとって追い風に。実際、抗議デモが拡大した6月入り後、もともと高かったバイデン氏の支持率がさらに上昇。

大統領選の帰趨は不透明ながら、中道派のバイデン氏が勝利した場合は、格差拡大や人種差別問題は改善に向かう可能性。一方、白人の支持者が多いトランプ大統領が勝利した場合は、米国社会の分断はより深刻化する公算が大。


抗議デモで米大統領選はバイデン候補が有利に(PDF:279KB)

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