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リサーチ・レポート No.2020-008

コロナ・ショック後のタイ経済~短期・中期の観点から~

2020年06月19日 熊谷章太郎


2020 年のタイ経済は、①新型コロナの感染拡大防止に向けた入国制限に伴う観光サービス輸出の減少、②ロックダウン(都市封鎖)による経済活動の停滞、③世界経済の悪化を受けた輸出減少、などにより、アジア通貨危機以来の大幅なマイナス成長になると見込まれる。

こうした状況下、景気下支えに向けて、政府とタイ中銀は相次いで経済対策を打ち出している。しかし、①中長期の財政の安定性に配慮する観点から、景気対策の大半は予算の組み換えにより策定されていること、②金融政策はゼロ金利制約に接近しつつあるほか、家計債務抑制も課題であること、などを踏まえると、財政・金融政策の効果には限りがあり、力強い景気の持ち直しは期待できない。

コロナ・ショックは、各国に経済構造に関わる政策スタンスの見直しを迫っている。外需依存型経済の脆弱性を指摘する声が強まっているが、タイについては、急速な少子高齢化や家計債務問題が内需を下押しし続ける状況下、政府・企業は対外リスクの抑制強化と外需取り込みの両立を目指すと見込まれる。エネルギー政策については、環境保全とエネルギー自給率向上の両立に向けて再生可能エネルギーの普及促進を続けるだろう。

なお、新型コロナの終息後、一時休戦状態にあった与野党間の政治対立が深刻化するリスクがある。経済政策の大枠に与える影響は限られるものの、各種法案の審議や予算執行の遅れを通じて経済成長の重石となる可能性がある。



コロナ・ショック後のタイ経済~短期・中期の観点から~(PDF:1,400KB)
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