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リサーチ・アイ No.2020-025

日銀短観(6月調査)予測 ―新型コロナで輸出や消費が落ち込み、景況感は大幅悪化―

2020年06月17日 北辻宗幹


7月1日公表予定の日銀短観(6月調査)では、新型コロナの世界的な感染拡大に伴い経済活動が落ち込んだことから、製造業、非製造業ともに景況感が大幅に悪化する見込み。

大企業・製造業の業況判断DIは、前回調査対比▲15%ポイントの悪化を予想。業種別では、世界的に販売台数が急減した自動車や、外需低迷の影響が顕著な一般機械をはじめ、ほとんどの業種でDIが低下する見通し。一方、大企業・非製造業の業況判断DIは、同▲25%ポイントの大幅悪化を予想。インバウンド需要の消滅や自粛ムードの残存を背景に、宿泊・飲食サービスの低迷が続くほか、運輸・郵便や対個人サービスも大きく落ち込む見通し。その結果、大企業・全産業のDIは▲20%ポイントと、対象企業見直しの系列を含め、2009年4月調査以来の低水準に。もっとも、製造業では輸出の下振れが小さい電気機械、非製造業ではテレワークによる需要増がみられる情報サービスなど、落ち込み幅が軽微となる業種もあることから、リーマン・ショック時ほどの落ち込みまでには至らない見通し。

中小企業・全産業の業況判断DIは、前回調査対比▲31%ポイントの大幅悪化を予想。国内消費の下振れにより、売上が激減するなか、幅広い業種で景況感は大きく悪化する見通し。

先行き(9月調査)は、全規模・全産業で6月調査対比+2%ポイントの上昇を予想。足許で経済活動が再開しつつあるため、最悪期は脱するものの、消費活動が限られている面もあることなどから、DIの持ち直しは総じて緩やかにとどまる見込み。回復に時間を要するとみられるインバウンドや輸出の影響を受けやすい産業では低迷が続く見通し。

2019年度の設備投資額(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、全規模・全産業ベースで前年度比+1.2%と、前回調査対比▲1.5%ポイントの下方修正を予想。年度末にかけて業績は大幅に悪化したものの、人手不足や設備の老朽化などの構造的要因がもたらす設備投資需要が押し上げに作用したことから、前年度比プラスでの着地となった見込み。

一方、2020年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比▲3.8%と予想。例年、計画未定の案件の確定や前年度未執行のずれ込みにより上方修正される傾向に反し、前回調査対比▲4.8%ポイントの下方修正となる見込み。新型コロナによる経済活動の停滞で、企業の収益環境が悪化しているほか、先行きの業績も見通しにくく、力強い回復を見込めないことが重石。中小企業を中心に投資を先送りするとみられ、今後の修正パターンも例年に比べ、慎重な足取りとなる見通し。

日銀短観(6月調査)予測 ―新型コロナで輸出や消費が落ち込み、景況感は大幅悪化―(PDF:275KB)


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