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「緊急事態宣言」解除後の「新しい生活様式」への各企業の改革

2020年05月26日 井熊均


 2か月近くに及んだ緊急事態宣言が解除されることになりました。テレワークに取り組まざるを得なくなったことで、これからの仕事の仕方について考えた方も多いのではないでしょうか。宣言が解除されたからといって、仕事の仕方を宣言発出前に100%戻そうという企業は少ないと思います。ネットワーク上で仕事をすることで、移動と場所に費やしている莫大なコストの必要性に疑問を感じるようになったからです。

 日本では一人当たり3坪程度のオフィスを利用していると言われます。都心部であれば年間100万円程度のコストがかかります。これに通勤、打ち合わせや出張のための移動に要するコストを加えると、固定したオフィスとフェイス・トゥ・フェイスの会議等を前提とした仕事の仕方のために、一人当たり年間百数十万円のコストを負担していることになります。社員が千人の企業なら十数億円に及びます。ITを駆使することで、これを半分に減らせれば、残りを競争力強化のために投じることができます。ここには固定された場所に集まるための時間的なコスト、あるいは感染や災害に見舞われた際の耐力の違いなどは含まれていませんので、実際にはもっと大きなコストの違いがあるはずです。これだけの負担の違いがあると、ITを使って仕事の仕方を変えていく企業と旧来の仕事の仕方に戻る企業が競争した時の結果は見えています。企業としてITを使った仕事の改革の是非を問う段階はとうに過ぎていると言えます。

 自粛や人出が減ったことで、緊急事態宣言の解除後も大変な状況にある企業がたくさんあります。その中で、日本が成長路線を取り戻すためには、在宅勤務を中心とした2か月間の経験は将来に向けた投資であった、と思えるようにすることが重要なのです。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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