ビューポイント No.2020-005 【新型コロナシリーズNo.14】 新型コロナ禍が促す企業のデジタルトランスフォーメーション 2020年05月01日 岩崎薫里わが国企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を認識し、取り組みも始まっているものの、さまざまな壁に直面し容易に進められずにいる。新型コロナウイルス感染症の流行を前に、わが国企業がDX を推進する重要性は従来以上に高まっている。その理由として、以下の2 点が指摘できる。第1 に、社会全体のデジタル化の加速である。新型コロナの流行とそれに対処するための外出制限措置は、「非対面」と「無人化」のニーズを惹起した。それは主に、①個人の行動がオフラインからオンラインへシフト、②人間が行っていた作業を機械やロボットが代替、という、デジタル技術を活用した2 つの動きを加速させる形で顕在化している。そのなかで、デジタルのメリットを最大限引き出せるか否かが危機における生き残りとその後の競争優位を築く鍵を握り、そのためにDX が必要となる。第2 に、価値観・生活様相の変化である。パンデミック、戦争、経済混乱などの災禍はしばしば、人々の価値観や生活を大きく変えたり、それ以前に芽生えていた意識の変化を顕在化させたりして、社会・経済全体の流れを変えていく。新型コロナの規模と広がりを踏まえると、今回もそれが生じる可能性が高い。ところが、どのような変化がいつ、どの程度、どのようなスピードで生じるかを事前に知ることは難しい。そこで企業は、ユーザーの行動をリアルタイムできめ細かく観察し、変化をいち早く察知して対応する必要があり、そのためにはデジタル技術のフル活用が不可欠であり、この面からもDX を迫られることになる。このように、企業のDX は待ったなしの状況にある。テレワークについても、導入が困難な理由が数多く挙げられていたものの、政府の外出自粛要請を受けて大企業を中心に見切り発車的に導入され、多くの企業は試行錯誤のなかで成果を追求している。それと同様にDX についても、今こそ推進のチャンスと捉え、スピード感をもって実行していくことに期待したい。新型コロナ禍が促す企業のデジタルトランスフォーメーション(PDF:580KB)