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リサーチ・アイ No.2020-011

在庫高止まりが原油価格の下押しに~産油国間での生産調整に向けた動きが強まる見込み~

2020年04月23日 松田健太郎


2020年4月9日、12日のOPECプラスの臨時会合では、新型コロナの影響による世界的な原油需要減少を受けて、20年5~6月に日量970万バレル、7~12月に日量770万バレル、21年1月~22年4月に日量580万バレルの協調減産で合意。もっとも、市場では、減産後の供給が依然として需要を大幅に上回るとの見方から、原油価格は臨時会合後も軟調に推移し、20日にはWTI期近物が史上初となるマイナス圏まで暴落。

IEAの4月月報の需給見通しを基に需給バランスを試算すると、今回の減産を加味しても、4~6月期は日量1600万バレル超の大幅な供給超過に。この結果、OECDの原油・石油製品在庫は、6月にかけて急激に積み上がる見込み。7月以降は需要回復に伴い、在庫は徐々に縮小するものの、20年末時点でも過去5年平均を上回る水準に。

在庫の急増を受けて、原油の貯蔵キャパシティや保管コストへの懸念も増大。新型コロナの影響が本格化し始めた今春以降、米国の原油在庫はハイペースの積み増しが続いており、WTI原油の受け渡し場所となる米オクラホマ州クッシングの貯蔵施設の使用率も急上昇。貯蔵能力の限界に対する不安の高まりも原油価格の急落要因に。

当面、供給超過が原油価格を大きく下押しする状況が続く見込み。年半ば以降、需要が回復したとしても在庫が高止まりするなか、原油価格が20年中に新型コロナ感染拡大前の水準へ持ち直すことは期待薄。こうした状況から、OPECプラスや枠組み外の米国・カナダなどの産油国の間でも生産調整を巡る動きが強まると予想。

在庫高止まりが原油価格の下押しに~産油国間での生産調整に向けた動きが強まる見込み~(PDF:272KB)
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