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リサーチ・アイ No.2020-009

緊急事態宣言が関西経済に及ぼす影響

2020年04月17日 若林厚仁


4月以降、関西でも新型コロナの感染者数が急増。関西でも大阪府・兵庫県への緊急事態宣言が発令され、大阪府では4月14日から、兵庫県では15日から商業施設等の休業や飲食店の営業時間短縮を要請。さらに16日には、緊急事態宣言の対象を全国に拡大することが表明されたことに伴い、関西全域で経済活動の落ち込みが懸念される状況。

既に経済活動は緊急事態宣言発令前から落ち込んでいるものの、発令後の外出自粛要請や休業要請に伴い、さらに▲10~▲50%程度落ち込む見込み。結果、活動水準は10~20%程度まで落ち込むと予想。

外出自粛により影響を受ける業種の売上高は、国内外からの旅行客分も含め、1ヵ月間で9,200億円程度。上記の想定利用減を踏まえると、関西での消費支出は月▲7,700億円落ち込む見通し。なお、緊急事態宣言の発令による影響のみを試算すると、月▲2,300億円と試算。

消費支出が月▲7,700億円落ち込むのに対し、政府の経済対策による関西の中小企業等への給付金は5,000億円程度(全国分2.3兆円を関西の域内総生産シェア(約2割)で按分)。給付金は1ヵ月分の消費減にも満たず、関西企業の利益減を支えるには力不足。

また、上記給付金とは別に、大阪府は休業要請に協力した個人事業主に50万円、中小・零細企業に100万円の支援金の支給を決定。同様の対応を他の関西府県も採った場合、総事業費は800億円程度になる可能性。一方で、緊急事態宣言発令により消費支出が月▲2,300億円落ち込んだ場合、飲食店等の粗利は▲1,400億円程度減少(粗利率60%と想定)。支援金は休業要請事業者の利益減の半分程度にとどまり、力不足感は否めず。

緊急事態宣言の延長等、経済活動の減少が長期化する可能性も否定できない状況下、追加の経済対策等も含めた一層の企業支援が不可欠。

緊急事態宣言が関西経済に及ぼす影響(PDF:329KB)
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