新型コロナの感染拡大により、世界中で景気が落ち込み。こうしたなか、米国の失業保険申請件数が3週間で1,600万件を超えるなど(図表1)、過去に例をみないスピードで失業が急拡大。まさに戦後最大のグローバル雇用危機。
過去の傾向をみると、世界の失業率は世界経済の実質成率率と連動(図表2)。世界経済が潜在成長率である3%を切ると、雇用者数は減少し失業率は上昇(1%減速で失業率は0.2%ポイント上昇)。4~6月期までの各国の最大GDPの落ち込み幅が直近ピーク対比▲7%減と予想されるため、世界で2億人のフルタイムワーカーに相当する労働時間が喪失。時短等の対応を行ったとしても、2020年央時点で、7,000万人が失業し、失業率は2%ポイント上昇。失業率は7.4%に達し、21世紀以降の最悪の水準へ。なお、リーマンショック時は2,200万人が失業し、失業率は0.6%ポイント増加。
業種別には移動封鎖が直撃する飲食・小売・宿泊や、サプライチェーン分断の影響を受ける製造業で失業が増加する公算(図表3)
年央までに新型コロナがピークアウトし、コントロール可能な状態に収束した場合、年後半は失業が減少に転じると見込み。もっとも、その場合でも、経済活動の急回復が期待しにくいなか、4,000万人の失業者が残り、失業率は6.5%で高止まりする見通し。逆に21年入り後も感染拡大に歯止めがかからない場合、世界の失業率は21年に2桁近くまで上昇することに(図表4)。
新型コロナでグローバル雇用危機へ~世界で2億人分の総労働時間が喪失し、失業者は7,000万人増の可能性~(PDF:267KB)
