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グローバル化の弱みと盲点

2020年02月26日 井熊均


 新型コロナウィルスの感染が世界中で大きな脅威となっています。感染された方々に心よりお見舞いを申し上げますと共に、中国を始めとする各国の感染防止の現場で、正しく命がけで戦っておられる医療関係者、行政機関の方々に心より敬意を表します。一日も早く世界が感染の脅威から解放されることを願います。

 今回のコロナウィルスの猛威は2000年代のSARSを大きく上回っています。背景にはグローバル化の弱みと盲点があるように思います。中国の一地域で発生した感染があっと言う間に世界中に伝播したのは、グローバル化で膨大な数の人が国境を超えて移動するようになったため、であることは否定できません。その発端が、巨大な人口を抱え世界経済の中でアメリカに次ぐ存在となった中国であったことが脅威を大きくしたと考えられます。今後も世界的な人の動きが拡大し続けるとすれば、世界のどこかで発生した感染症があっと言う間に広がるリスクが増えることになります。

 もう一つ言えるのは、こうしたグローバル化の弱点を防ぐための対策が後手に回ったことです。これだけ世界中で大型クルーズ船が運行されているにも関わらず、今回のような事態が起こった場合の責任や権限、あるいは対処方法が世界的に定まっていなかったのは驚きでした。しかし、考えてみると、人、モノ、金がかつてないスピードで世界中を飛び回る中、全ての弱点を見抜き、事前に対策を考え、国際的な合意を図るのは不可能と言っていいのかもしれません。

 今後気候変動によって感染症が増える、という予測もあります。自らの引き起こした自然の脅威と社会システムのリスクにどのように立ち向かうか、人類の英知が問われる局面に立っているように思います。


■ 第40回エネルギーフォーラム賞「普及啓発賞」を受賞いたしました。
『エナジー・トリプル・トランスフォーメーション』
井熊 均/瀧口 信一郎/木通 秀樹
株式会社エネルギーフォーラム 2019年11月22日発行


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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