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リサーチ・アイ No.2019-051

新型コロナウイルスが欧州経済に及ぼす影響 -混乱が長期化すればドイツの製造業を中心に影響が拡大-

2020年02月07日 高野蒼太


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本では中国人によるインバウンド消費減少への懸念が強まる状況。一方、ユーロ圏主要国においては、観光業の経済に占めるウェイトは日本に比べて総じて高いものの、外国人旅行者に占める中国人の割合が相対的に小さいため、インバウンド消費への影響は限られる見込み。

むしろ、懸念されるのは、貿易取引を通じたマイナス影響。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時に比べて、ユーロ圏経済における中国向け輸出の重要性は大きく上昇。中国向け輸出が下振れれば、製造業を中心に欧州景気へ負の影響が及ぶ懸念。中国景気が大きく減速した2015年や19年には、一時的にユーロ圏の中国向け輸出が5~10%減少。仮に中国向け輸出が10%減少した場合、ドイツでは0.2%強、ユーロ圏全体では0.1%強、GDPを下押しする見込み(中国向け輸出の国内付加価値率を80%と仮定)。

加えて、中国国内の工場の操業停止や店舗の休業、物流・交通の混乱などが、中国に進出している欧州企業の活動の制約となる可能性にも留意が必要。欧州主要国の対中直接投資は、ドイツを中心に2002年に比べて大きく増加。操業停止や物流の混乱などが長引けば、欧州企業のサプライチェーンを通じた活動や収益への悪影響が拡大する恐れ。

新型コロナウイルスが欧州経済に及ぼす影響 -混乱が長期化すればドイツの製造業を中心に影響が拡大-(PDF:196KB)
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