新型コロナウィルス拡大を受け、関西でも訪日客の減少等による経済への悪影響が懸念される。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)発生時は、02年11月の発生後、03年6月下旬には収束に向かったが、感染者増加のピークであった03年4~6月期には、中国・台湾・香港からの訪日客が半減した(図表1)。今回の新型ウィルスでは、中国政府は海外への団体旅行禁止を決定しており、団体旅行は中国人訪日客の4割を占めることから、中国人訪日客の減少は不可避の状況。
中国人訪日客による関西での消費額は年間約5,000億円程度とみられ、全体の約4割を占める(図表2)。仮にSARSの時の様に、関西への中国人訪日客が3ヵ月間半減した場合、▲600億円程度インバウンド消費額が下振れる計算。これは関西の年間域内総生産の約▲0.1%に相当。また、インバウンド消費減の直接影響に加え、生産下振れなどの間接影響も発生する可能性。
中国人訪日客だけでなく、国内旅行客も感染を恐れて減少する可能性あり。関西域外から関西への国内旅行客の消費額は宿泊・日帰りを合わせて年間2.3兆円に達する(図表3)。仮に3ヵ月間1割減となった場合、関西域外からの国内旅行消費が▲600億円程度下振れることに。
観光のみならず、輸出への影響も懸念される。中国向け輸出は関西の全輸出額の24%程度を占め(日本全輸出額に占める割合は19%)、関西輸出は中国景気の影響を受けやすい。関西の中国向け輸出は足元で下げ止まりつつあるが(図表4)、新型ウィルスによる中国景気の悪化が関西の輸出回復に水を差す可能性。
・新型コロナウィルスが関西経済に及ぼす影響(PDF:295KB)
