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リサーチ・アイ No.2019-039

2019~2021年度改訂見通し― 消費増税を乗り越え、緩やかな回復が持続 ―

2019年12月09日 村瀬拓人


2019年7~9月期の2次QEは、実質GDP成長率が前期比年率+1.8%と、設備投資の上方修正を主因に1次QE(同+0.2%)から上振れ。今回のGDPの改定では、2019年入り後の成長率が全般的に上方修正。わが国景気が、2018年の減速から着実に持ち直していたことを示唆。

先行きを展望すると、10~12月期は消費増税などの影響で、5四半期ぶりのマイナス成長となる見通し。個人消費は、駆け込み需要の反動や台風など自然災害の影響で大幅に減少。GDP統計では、幼児教育・保育の無償化に伴い利用料の負担者が家計から政府にかわることも、個人消費の下押し要因(※)。もっとも、今回の増税では、①駆け込み需要の規模が前回2014年の増税時と比べ小さかったこと、②増税後の物価上昇が限定的であり、実質所得がプラスを維持していること、などを踏まえると、消費低迷の長期化は避けられる見通し。駆け込み需要の反動減や自然災害の影響が一巡するにつれて、個人消費は再び緩やかな増加基調に復帰へ。
(※)個人消費が減少する一方、政府消費が増加するため、GDPへの影響は中立。

一方、設備投資も、高めの伸びの反動などで一時的に減速感が強まる可能性。もっとも、人手不足や働き方改革への対応、新たなIT技術の活用などを背景に、情報化投資や研究開発が堅調に推移することで、増加基調が続く見通し。世界の半導体市場の持ち直しなどを背景に、輸出の減少に歯止めがかかることも、製造業の投資マインドにプラスに作用。

政府は、12月5日の閣議で、事業規模26兆円の経済対策の策定を決定。今回の改訂見通しでは、経済対策の効果を織り込み、2020年度の成長率を上方修正。ただし、①経済対策の公共事業には「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として既に支出が計画されていた事業が含まれること、②建設業の人手不足を背景に公共事業の工期の長期化や翌年度への予算の繰り越しが膨らむ可能性があること、などを踏まえると、成長率の押し上げは限定的となる見込み。

以上を踏まえると、2020年入り後、景気は再び回復軌道に復帰。2019年度から2021年度の成長率は+1%程度と、消費増税を乗り越え緩やかな成長が続く見通し。

2019~2021年度改訂見通し― 消費増税を乗り越え、緩やかな回復が持続 ―(PDF:202KB)
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