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リサーチ・アイ No.2019-038

日銀短観(12月調査)予測― 足許の景況感は悪化も、先行きは改善へ ―

2019年12月05日 北辻宗幹


12月13日公表予定の日銀短観(12月調査)では、輸出の低迷や消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減を受け、製造業、非製造業ともに景況感が悪化する見込み。
   
大企業・製造業の業況判断DIは、前回調査対比▲2%ポイントの小幅悪化を予想。円安の進行による企業収益の改善が見込まれるものの、世界経済の減速を背景とする輸出の低迷が景況感の下押しに作用。業種別では、外需低迷の影響が顕著な生産用機械を中心に悪化する見込み。一方、大企業・非製造業の業況判断DIは、同▲8%ポイントと大幅な悪化を予想。駆け込み需要の反動や自然災害による一時的な個人消費の下振れに加え、訪日韓国人の減少を受けたインバウンド消費の落ち込みが景況感を押し下げ、小売や宿泊・飲食サービスを中心に悪化。大企業・全産業のDIは、対象企業見直しの系列を含め、2013年6月調査以来の低水準に。

中小企業の業況判断DIは、前回調査対比▲7%ポイントの悪化を予想。人手不足を背景とした人件費の増加や、駆け込み需要の反動減による売上高の減少が景況感を下押しし、非製造業で大幅に悪化。

先行き(2020年3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比+2%ポイントの改善を予想。海外情勢の先行き不透明感が残るものの、自然災害の影響が一巡するほか、世界的な半導体需要の持ち直しが業況見通しに反映され、製造業、非製造業ともに改善する見込み。

2019年度の設備投資額(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、全規模・全産業ベースで前年度比+3.0%と、前回調査対比+0.6%ポイントの上方修正を予想。業況判断DIは悪化しているものの、設備投資は底堅さを維持する見込み。米中貿易摩擦をはじめとする海外情勢の不透明感が重石となるものの、人手不足や設備の老朽化などの構造的要因がもたらす設備投資需要が下支え。

大企業・製造業では、前回調査対比▲2.0%ポイントの下方修正を予想。下方修正ながら、ほぼ例年の足取りに沿った動きとなる見込み。大企業・非製造業では、同+0.3%ポイントと、小幅上方修正を予想。人手不足や働き方改革を背景とした合理化・省力化投資を中心に堅調に推移する見通し。

一方、中小企業は、全産業ベースで前年度比▲2.7%と前回調査対比+4.2%ポイントの上方修正を予想。設備の老朽化に伴う維持・更新投資などが引き続き見込まれていることから、例年並みの上方修正となる見通し。

日銀短観(12月調査)予測― 足許の景況感は悪化も、先行きは改善へ ―(PDF:307KB)
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