政府は13兆円規模の経済対策をとりまとめる方針。そのなかで、公共投資も6兆円が計上されるとの観測。今後も増加が予想される自然災害の対策として、堤防・川底・ダムなどの土木工事に重点配分される見込み。
もっとも、建設業での人手不足も考慮する必要。建設業の労働需給はバブル期以来の逼迫感。有効求人倍率も6倍を超えており、人手不足が供給力の天井を形成しつつある状況。
こうした環境下で公共投資を積み増すと、民間投資をクラウディングアウトする恐れ。実際に足許でも、公共投資が増加に転じるにつれて、民間建設投資が減少。建設受注残高が高水準であることを踏まえると、これは需要不足が原因ではなく、供給制約がボトルネックになっている公算大。
自然災害への備えは極めて重要であるが、6兆円もの追加公共投資は、人手不足問題に直面する民間建設投資をさらに押し下げる可能性。経済対策の策定に際しては、民間投資をクラウディングアウトしない程度の規模感に抑えるほか、ハード面だけでなくソフト面の防災対策にも資金配分するといった工夫が不可欠。
公共投資拡大は民間投資をクラウディングアウト(PDF:208KB)
