2006年09月15日 |
日銀短観(9月調査)予測 |
業況判断DI:足許は小幅改善、先行きは慎重 | |
(1) | 9月の業況判断DIは、①米国景気のスローダウン、②原材料価格の上昇分を販売価格に十分転嫁できていないこと、などの抑制材料はあるものの、国内民需の着実な拡大を追い風とした企業活動の堅調(鉱工業生産・第3次産業活動)がみられるなか、各セクターで横這いないし小幅改善が見込まれる。 全規模全産業ベースのDIは、6月対比1ポイント改善の+7を予想。 |
(2) | 一方、本年12月までを想定した「先行き見通し」DIについては、以下の要因から製造業(とりわけ中堅・中小企業)を中心に慎重な見方が示される可能性が高い。 全規模全産業ベースのDIは、9月実績対比2ポイント悪化の+5を予想。 ①米国景気の先行き(スローダウンの深さ、長さ)に対する不透明感。 ②足許で商品市況の騰勢がやや緩んでいるものの、激しい市場競争が続いているほか、賃金の回復ペースが緩慢なもとで、原材料価格の上昇分を販売価格に転嫁しづらい状況は容易に解消できないとみられること。 ③株価の上値が重い状況下、株価上昇の需要刺激効果に期待を寄せづらいこと。 |
(3) |
以上のように、9月短観では、企業マインド改善の緩慢さが改めて確認される見込み。 もっとも、企業部門では、ハイテクバブル崩壊時や2004年の「踊り場」局面と異なり、相当程度のショック吸収力を保持。このため、景気の回復基調および企業マインドの改善基調自体が崩れる可能性は小さいと判断される。 ・・・「グローバル競争での勝ち残り」「団塊世代引退・人口減少本格化への対応」を企図した設備投資・雇用の拡大基調が早晩崩れるリスクは小。 |
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2006年度設備投資計画:9月段階でも05年度をやや上回る伸びに | |
(1) | 2006年度の設備投資は、①高付加価値分野への「選択と集中」、②新事業開拓・研究開発投資の積極化など、「攻めの経営」へ転じたことを具現化する案件を中心に、拡大基調が持続する見通し。 7月の機械受注(除船電民需)が前月比▲16.7%の大幅マイナスとなったものの、4~7月で均した前年比は+11.5%。05年度の平均伸び率(+5.6%)を大きく上回る状況は不変。 |
(2) | 9月短観・設備投資計画の6月対比修正率をみると、例年中小企業を中心に増額となるものの、全体の修正幅は小幅(05年度における全規模全産業・土地含みソフト除くベースの修正率は1.3%。04年度は1.5%。大企業で中間決算確定前に計画を見直す動きが少ないためと推察)。 こうした点を踏まえ、当社では、今回短観の06年度投資計画伸び率(前年度比)について、 昨年9月の05年度計画(+6.8%)をやや上回る+7.8%と予想。 |
(3) | なお、8月25日の消費者物価基準改定以降、市場では日銀による年内利上げの可能性が低下したとの見方が広がっているが、今回の設備投資伸び率が当社予測通りとなれば、年内利上げ観測・金利先高感が再燃する可能性がある。 |
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