日銀大阪支店「短観」(近畿地区)9月調査は、業況判断DI(全産業・全規模)が+5となり、6月調査から▲4ポイント、3四半期連続の悪化。業種別でも、製造業、非製造業ともにDIは悪化したが、とりわけ海外経済減速による輸出低迷を背景に製造業の落ち込みが大。製造業の悪化幅は6月調査の▲2ポイントから今回調査で▲7ポイントと拡大。非製造業では、建設などで改善したが、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが悪化。人手不足や宿泊施設増加に伴う競争激化、加えて足許の韓国人旅行客の減少などが原因とみられる。物品賃貸や卸売など企業間の取引を主とする業種も悪化、一部には製造業悪化の波及とみられる動きも。
2019年度の企業業績(全規模・全産業)は売上高が前年度比+1.4%、経常利益が▲5.7%と、前回調査に比べてそれぞれ▲0.2%ポイント、▲1.2%ポイントの下方修正。収益下押しリスクが強まる環境のなかでも、設備投資計画(全産業・全規模、ソフトウェアを含み土地投資額を除く)は前年度比+7.3%と、依然として強気姿勢を維持。前回調査からは▲0.6%ポイントの下方修正となったものの、設備投資計画の修正状況を過去パターンと比較すると、プラス着地見込み圏内。
総じて関西経済は、海外経済減速が製造業の業況悪化を招いているものの、非製造業への波及は限定的にとどまり、設備投資は先送りの動きなどが拡がるには至っていないことを示唆。もっとも、景況感が3期連続して悪化している状況からすれば、設備投資の強気姿勢の持続について先行き楽観視すべきではない。海外需給判断DIは先行きも改善の動きは脆弱。米中貿易摩擦長期化のもと、製造業にとっては外部環境の好転は期待しにくい状況。海外経済の動向次第では下期の投資先送りの動きが拡がるリスクに留意の要。
近畿短観(2019年9月調査)でみる関西経済(PDF:347KB)
