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リサーチ・フォーカス No.2019-021

自動車販売の不振が続くインド経済の行方

2019年09月26日 熊谷章太郎


インドの景気が足元で急減速している。主因は自動車販売の大幅減少であり、その背景には、①金融セクターの信用不安を背景とした金融機関の貸出態度厳格化や金利高止まり、②今後の排ガス基準の厳格化に関連した買い控え、③車両購入時の保険加入期間の延長や保険料引き上げなどによる自動車保有コストの増加、などがある。

これに対して、政府は、①信用不安の解消に向けた公的銀行への資金注入や、商業銀行の個人・中小企業向けの貸出金利の政策金利との連動の義務化、②車両登録料の引き上げ時期の延期、車両の減価償却率引き上げ、などの対策を相次いで打ち出している。今後は、これらを受けて自動車販売は徐々に持ち直しに転じると見込まれる。もっとも、2020 年4月以降は、新たな排ガス基準の導入に伴う車両価格の上昇が販売下押し要因となる一方、需要創出要因となる一定年数の車齢に達した車両の廃車を義務化する政策も検討されており、自動車販売は引き続き振れやすい状況が続くと予想される。

そのため、インド経済は来年にかけて成長率が振れやすい状況が続くと見込まれる。ただし、2010 年代前半の景気減速局面と比べてマクロ経済の脆弱性が多くの分野で克服されているため、景気低迷が長期化するリスクはさほど大きくない。人口増加や所得水準の高まりに伴う中間所得層の拡大や経済改革の進展などを踏まえると、中長期的には底堅い成長が続き、自動車市場も一時的な停滞局面を経ながらも拡大し続けると見込まれる。

自動車販売の不振が続くインド経済の行方(PDF:553KB)
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