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リサーチ・フォーカス No.2019-020

わが国の総合取引所が目指すべき方向性を考える

2019年09月25日 石川智久


10 月1 日に東京証券取引所(TSE)と大阪取引所(OSE)を傘下におさめる日本取引所グループ(JPX)が商品デリバティブ市場を運営する東京商品取引所(TOCOM)を完全子会社化する。その後、2020 年7 月にTOCOMの商品デリバティブの多くをOSEに移管する予定であり、10 年以上の議論を経て総合取引所構想がようやく実現する。具体的にはTSE が現物株、OSE が金融・商品デリバティブ、TOCOM が総合エネルギー市場を目指し、持株会社方式でJPX は日本初の総合取引所となる。

近年、海外では取引所の統合等が進み、金融と商品の両面を取り扱う総合取引所が一般的になっている。わが国においても、2010 年6月に制定された「新成長戦略」で総合取引所創設は金融分野の国家戦略プロジェクトと位置付けられ、そこでは「投資家・利用者の利便性」を第一とし、「アジアの一大金融センターとして新金融立国を目指す」としていた。

わが国の現在のプレゼンスをみると、デリバティブ関係では世界のトップ10 の範囲外、TSE は現物株で世界第三位の地位にあるものの、アジア諸国の総合取引所からの激しい追い上げを受けている状況。こうしたなか、挽回の起爆剤となる総合取引所の創設になったことはプラスに評価できる。

一方で、今回の統合を単なる取引所の統合で終わらせてはならない。わが国の総合取引所が目指すべきは、政府の成長戦略で示された、顧客利便性と金融立国に資する「真の総合取引所」となること。具体的には、顧客利便性の観点からは証券・金融・商品・エネルギー取引をワンストップサービスで行うことによるプラットフォームとなり、多様な取引を低コストで行える環境の整備が重要。金融立国の観点からは、国内の市場活性化が重要であり、世界から大きく遅れたわが国の商品デリバティブ市場の活性化と新設が検討されている総合エネルギー市場の早期立ち上げ等が考えられる。

今回の統合はわが国の総合取引所構想の第一歩。わが国の経済成長に貢献する総合取引所となるためにも、更なる議論と実践を積み重ねていくことが期待される。

わが国の総合取引所が目指すべき方向性を考える(PDF:1,122KB)
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