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リサーチ・アイ No.2019-027

【≪関西経済シリーズ No.5≫】
日韓関係が悪化するもとでの関西のインバウンド観光

2019年09月17日 西浦瑞穂


7月に日本政府が韓国向け輸出管理の運用見直しを実施して以降、日韓関係修復の糸口は未だ見えず。関西国際空港発着の韓国便が減少するなど、政治問題がインバウンド観光に悪影響。わが国への訪日外国人数は、2019年7月に全体では前年同月比+5.6%と増加するなかで、韓国人は同▲7.6%の減少。訪日韓国人は、渡航先の多様化や韓国経済の減速などから2018年以降は弱い動きが続いていたものの、さらに政治問題が追い打ちをかけた形。

関西への訪日外国人を国籍別にみれば、韓国は中国に次いで2番目のシェア。関西は九州や中国地方の各県に比較して韓国人観光客への極端な偏りはないが、これまでLCCの路線拡充などにより韓国からの観光客増加がインバウンド需要を下支え。

今後の韓国人観光客の減少について参考になるのは、2017年にTHAADミサイルの配備を巡り中韓関係が悪化した際のケースで、中国への韓国人観光客数は1年間で2割程度減少。関西への韓国人観光客が今後同程度減少すればインバウンドへの相応の悪影響は不可避。韓国人観光客の旅行消費額(2018年)は全国で5,881億円であり、このうち関西は1,900億円程度と試算。これが2割減となれば370億円の消費減に相当。関西のインバウンド消費額が▲3%下押しされることに。

ただし、年内は関西へのインバウンド需要全体が大きく落ち込む可能性は小。まず、訪日外国人数は中国や欧米などが堅調に増加していること、さらに、9月から11月にかけてラグビーワールドカップ(以下RWC)がわが国で開催されること、が挙げられる。開催都市12都市中、関西ではプール戦が東大阪市と神戸市の2都市で開催。RWCは開催期間が44日間と長期にわたる
イベントであり、海外からの観戦者の滞在期間は長期の傾向。2015年イングランド大会では、海外からの観戦者数は40.6万人、観戦チケットを購入した観客の居住地は世界151カ国に上り、平均滞在期間は14日間。今回の日本大会でも、海外からの観戦客の長期かつ広範囲な移動を伴う滞在が期待可能。京都や大阪などは欧米豪の観光客の訪問率が高く、関西へは試合の開催に関係なく立寄りが期待できるところ。

外国人のチケット販売見込みと、前回大会の外国人平均購入枚数(1.9枚)から類推すれば、わが国への訪日外国人数としては延べ29万人が見込めることに。観光庁調査によれば、欧米豪からの関西への訪問率は47%、訪問者の平均泊数は約6日、消費単価は約1.5万円/泊(2018年)。これに基づけば、RWC観戦に訪れる外国人による関西での観光消費額は120億円と試算。関西が開催地であることを加味すれば、さらにこれを上回る可能性。

年内においては、韓国人観光客の不振(▲370億円)を、その他の国々の好調(+520億円)とRWC開催に伴う効果(+120億円)が相殺し、関西のインバウンド消費総額の落ち込みは回避される見込み。

最近の関西の訪日外国人動向をみると、アジアからの観光客が依然中心ではあるものの、欧米からの観光客数も着実に増加。今後も韓国のみならず国家間の関係悪化が観光に悪影響を及ぼす可能性があることを勘案すれば、幅広い国から訪日観光を誘引していくことがリスク分散に。RWCに次いで、来年には東京オリンピック・パラリンピックが控えており、官民挙げて、関西の魅力をアピールし観光立国の地歩を固めていくことが重要。

日韓関係が悪化するもとでの関西のインバウンド観光(PDF:395KB)
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