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リサーチ・アイ No.2019-021

米国債の逆イールド発生は景気後退のシグナルか―過去とは金融政策等の状況が異なるため、過度な懸念は不要―

2019年08月21日 松田健太郎


米国では、8月14日に一時、2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールドが発生。過去の逆イールドがみられた局面では、その後に景気後退が発生したことから、市場では景気後退懸念が急速に台頭。

もっとも、今局面は過去と異なる点が散見。過去の局面では、利上げが続くなかで短期金利が上昇し、長期金利を上回った構図が主。実際、FRBの金融政策をみると、98年6月の発生時を除いて今回を上回る幅の利上げが行われており、逆イールド発生後も利上げを継続。その結果、政策金利は中立金利水準を大きく超過。つまり、金融引き締めが景気後退の一因になったと推測。

一方、今回は、通商摩擦などを巡る先行き不透明感が高まるなか、18年11月以降、2・10年債とも利回りが低下。その後、FRBは7月に「予防的利下げ」を実施し、既に引き締め姿勢を中立に転換。ちなみに、98年の局面では一時逆イールドが発生したものの、その後解消し、景気後退には至らず。この際もFRBは逆イールド発生の翌月から3ヵ月連続で利下げを実施。

また、10年債利回りは、FRBによる資産買入れの影響で上値が抑えられている状況。さらに、不確実性が増大するなか、従来から安全資産とされ、かつ相対的に利回りが高い米国債への需要が拡大し、10年債利回りの押し下げに作用。

先行き、市場が逆イールドを景気後退と捉え、リスク回避姿勢を強めれば、資産価格の下落などを通じて自己実現的に景気後退に至る可能性は残存。もっとも、足許の米国経済は底堅く、過去の逆イールド発生時の状況とは金融政策の状況も異なるため、過度な懸念は不要。

米国債の逆イールド発生は景気後退のシグナルか―過去とは金融政策等の状況が異なるため、過度な懸念は不要―(PDF:306KB)
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