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JRIレビュー Vol.8,No.69

アメリカ経済見通し

2019年07月30日 井上肇


アメリカでは、個人消費をけん引役とする景気拡大が続いているものの、設備投資など企業活動に弱さがみられる。成長ペースは2018年央をピークに減速傾向にある。海外経済の減速や貿易摩擦が景気の重石になっていることに加え、拡張的な既往財政政策の効果が減衰していることも影響している。

米中の通商協議の行方が見通せないなか、今後も貿易戦争の激化による景気下振れリスクを抱えた状況が続く見込みである。ただし、2020年の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領としては、貿易戦争の激化で自国景気の悪化を招き、有権者の支持を失う展開は避けたい。そのため、メインシナリオでは対中関税第4弾の発動は回避されるとみる。

2018年は大型減税や財政支出拡大などが景気の追い風になったものの、20年にかけて財政政策の影響はおおむね中立になるとみられる。拡張的な既往財政政策による効果が剥落するほか、2020年度予算においてインフラ投資の拡大などの追加の大規模な財政支出の実現も見込みにくい。

一方、緩和的な金融政策が景気の下支えになる。連邦準備制度理事会(FRB)が年内に予防的な利下げに動くことで株高地合いが続き、資産効果が個人消費の押し上げに寄与するとみられる。加えて、住宅ローン金利の低下とともに家計の住宅取得能力が改善するため、住宅投資も緩やかな回復に向かう公算が大きい。

以上を踏まえ、景気の先行きを展望すると、財政面からの景気押し上げ効果は2020年にかけて剥落するものの、貿易摩擦によるマイナス影響は限定的にとどまり、FRBの利下げが景気を下支えする見込みである。こうしたなかで、2%前後とみられる潜在成長率並みの拡大ペースは維持され、戦後最長の景気拡大局面が続く見通しである。

最大のリスク要因は、再選に焦りを感じたトランプ大統領が、性急な成果を求めて貿易戦争を激化させ、景気が失速する事態である。いったん、景気・企業収益が大きく下振れすれば、好況下で膨張が続き、質の低下もみられる企業債務問題が噴出し、景気悪化を増幅するリスクもある。

アメリカ経済見通し(PDF:2,592KB)
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