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オピニオン

【次世代農業】
農業ビジネスを成功に導く10のヒント ~有望な新規事業の種はどこに埋まっているのか?~ 第7回 ヒント(6)農業ロボットが日本農業を救う

2016年11月22日 三輪泰史


 前回のコラムでは、注目を集めている農業IoTの全体像および具体事例について述べました。今回は農業IoTの中から、「農業ロボット」に焦点を当てます。

 農作業に用いる機械といえば、従来はトラクター、コンバイン等の農機や、洗浄機、乾燥機、梱包機等が中心でしたが、最近は新たに農業ロボットの実用化が進んでいます。用途に合わせて、収穫ロボット、除草ロボット、選別ロボットといった多種多様な農業ロボットがラインナップされています。IoTやAIの加速度的な技術革新の恩恵を受け、一部の農業ロボットは先行的に商品化・市販化が始まりました。
 一方で農業ロボットの本格的な普及には、まだ越えなければならないハードルがあります。その一つが、コストの高さです。このような課題を乗り越えるためには、2つの方策が重要となります。

 一つ目が、ロボットの活用により、付加価値を生み出すことです。数百万~一千万円もする高額な農業ロボットを、単に人の作業の代替にだけ使うとなると、浮いた人件費で投資を回収するにはかなりの年数を要します。それに対して、ロボットを活用して単価や面積当たり生産量を高めることができれば、投資回収は容易になります。一例として、センサーを用いた熟度把握により最適なタイミングで果実を摘み取る収穫ロボットや、土壌中の養分を分析してリアルタイムに施肥量や割合を変える肥料散布機などが挙げられます。
 二つ目が、農業ロボットの多機能化です。農業ロボット黎明期である現在は、収穫用、モニタリング用、散布用といった単機能の農業ロボットの開発が進められています。しかし、特定の機能に特化したロボットの場合、年間の稼働率が低下してしまいます。また複数のプロセスをロボット化する場合には、それに応じた台数のロボットが必要となり、機械費の増加を招いてしまいます。これは従来型の農機が直面する課題と同じと言えます。そこで求められるのが、多機能化です。ICTやAIの進歩によりロボットの処理能力は格段に向上しており、作業ごとにロボットアームやセンサー等の付属品を付け替えるだけで、1台のロボットがさまざまな作業をこなすことが可能となります。多機能化により、年間の稼働率は高まり、また電源や動力といった基本部分が1台にまとめられるため、総コストが大幅に圧縮されます。また、基本部分は量産効果によるコスト削減も見込まれます。

 これから2020年に向けてさまざまな農業ロボットの商品化が計画されています。優れた農業ロボットは、農業者の収益向上や負荷低減を通して日本農業の姿を大きく変えていく力を持っているといえます。

この連載のバックナンバーはこちらよりご覧いただけます。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。