毎年9月中下旬に行われる国連総会が今年も幕を閉じた。同期間中は深刻化するシリア情勢や難民・移民問題を中心に、SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)にも含まれるジェンダー平等、気候変動対策などの課題に関する議論やイベントが開催されたが、国内メディアで大きく報じられたニュースは安倍首相の北朝鮮への批難に関する一般討論演説程度ではないだろうか。本年はアメリカ大統領選やリオのパラリンピックの報道とも重なったこともあり、国連総会の印象は薄いものにあった。国内でのSDGsに関する動きとしては、安倍首相主導で2016年5月20日に全省庁が参加するSDGs推進本部が設置され、国連総会直前の9月12日には行政、市民社会、有識者、民間企業、国際機関等が集まる第1回SDGs推進円卓会議が開催されたことがある。わが国のSDGs実施指針と具体的施策の検討のための議論が行われたという。だが、国連総会の件だけではなく、こうしたSDGs推進に関する政府の動きも、国内メディアではほとんど報道されておらず、この状況を認識している一般市民は少ないのが現状ではないだろうか。