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オピニオン

農産物輸出の将来展望

2014年03月25日 三輪泰史


 少し前の話になりますが、農林水産省より2013年の農林水産物・食品の輸出額が発表されました。2013年の輸出額は5506億円と過去最高となり、東京電力福島第一原発の事故による輸出の落ち込みから3年ぶりに回復することができました。

 輸出増加の要因は大きく3つあります。一つ目が東京電力福島第一原発の事故に伴う各国の輸入規制が徐々に解除されている点です。二つ目が海外での日本食ブームです。農林水産省の資料によると、海外の日本食レストランはこの10年間で急激に増加しており、2013年3月時点では全世界で55,000店あるとされています。昨年12月に「和食」がユネスコの無形文化遺産されたことで注目度が高まっており、2015年の食をテーマとしたミラノ万博における一層のアピールが期待されています。三つ目が円安の影響です。円安によりコメ等の一部の日本産の農林水産物に値ごろ感がでたと指摘されています。また、ドル建て取引の場合、為替レートの関係で日本円換算の輸出額が膨らんだことも一因です。

 ただし、政府の掲げる輸出目標は「2020年に1兆円」であり、さらに倍近くまで輸出額を増やす必要があります。そこで私が注目しているのが日本農業のブランド戦略です。

近年、農家が海外に進出し、日本の技術を活かした農産物の現地生産・現地販売モデル(筆者は「日本式農業モデル」と呼んでいます)に挑戦する農家が増加しつつあります。誤解されがちですが、日本産と日本式は競合関係にあるのではありません。例えば自動車では、高級な車種は日本で生産しますが、大衆向けは現地生産している場合が多く見られます。日本のビール会社や食品メーカーも同様に日本から輸入したトップブランドと現地生産のセカンドブランドをうまく組み合わせて商品ラインナップを構成することで、ブランド露出を高めています。農産物においても、輸出と現地生産によりジャパンブランドを作ることで、海外の小売店に常設の日本コーナーを設けてもらうことが期待でき、輸出促進につながります。

1兆円という目標に向けて農産物の輸出を拡大するには、いかに日本農業を売り込むかという俯瞰的な視点が必要と言えるでしょう。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。