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気候変動適応学のススメ

2013年10月22日 足達英一郎


 先日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が温暖化の影響で、今世紀末に海面は最大82センチメートル上昇し、気温は最大4.8度上がるとする予測を発表しました。発表では、「気候変動を抑えるため、抜本的で継続した排出削減が必要だ」と国際社会に警鐘を再び鳴らしたのですが、私達には、海面が上昇し平均気温が確実に上がった状況の中で、どう暮らすかという備えも必要になってきていると思えてなりません。

 今年の夏、熱中症で病院に運ばれた人は全国で4万人を超え、気象庁の観測地点927のうち、およそ1割の地点で史上最高気温を更新したといいます。こうした酷暑で深刻な影響を受けたのが全国の酪農家でした。乳牛は人間より暑さに弱く、乳の出具合にも響くからです。今年の夏には、暑さによる乳牛のストレスを指数で示す「ヒートストレスメーター」に、全国の酪農家から引き合いが相次いだということでした。

 世界銀行が発表したTurn Down the Heat 2013と題する報告書では、気候変動がアフリカ・サブサハラ地域、東南アジア地域、南アジア地域で、どのような悪影響を及ぼすことになるかを詳細に予測・分析しています。国連環境計画がGEO-5 for Businessという表題で公表した報告書では、建設、化学、電力、鉱山、金融、食品、医療、情報通信、観光、運輸という10の業種について、地球環境問題の趨勢がどのような脅威と事業機会をもたらすかを記述しており、例えば、食品業界では、農産品や畜産品の入手可能性、品質維持が困難となり、価格高騰が深刻化することや、水資源の確保が困難になる懸念を分析しています。

 気候変動を引き起こす温室効果ガスをどう減らすかという取り組みに加えて、実際に起こる気候変動にどう適応していくのかという取り組みが必要とされてきています。これは、いわば気候変動適応学ともいえるでしょう。日本総合研究所でもこうした知見の蓄積に動き始めています。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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