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我が国におけるマイクロファイナンス制度構築の可能性および実践の在り方に関する調査・研究事業

2013年06月06日 井上岳一


*本事業は、平成24年度社会福祉推進事業として実施したものです。

事業目的
 近年、諸外国ではマイクロファイナンスと呼ばれる小口資金の貸付手法に注目が集まっている。わが国でも、生協や信金等、一部の民間金融機関により小口貸付を活用した家計再建支援事業が実践されており、民間金融機関による融資(ローン)をテコにした生活困窮者支援策の可能性が示唆されている。
 以上を踏まえ、諸外国や国内民間金融機関における生活困窮者向けの小口貸付の実践状況を参考に、生活福祉資金貸付制度等の現行制度との関係も整理しつつ、家計再建のための小口貸付制度構築の可能性等について調査・研究を行うことを通じて、新たな家計再建支援事業の制度設計の検討に資すること、が本事業の目的である。

事業内容
 まず、国内外において生活困窮者向けの小口貸付を行っている事例の収集・調査・分析を行った(文献調査とヒアリング調査)。次に、生活困窮者向けの公的貸付制度として長く機能してきた生活福祉資金の運用実態や利用者像について調査・分析を行った(文献調査とヒアリング調査)。これらの調査結果を材料に、「家計再建ローン研究会」で委員による議論を重ね、「家計再建ローン」のあり方(利用者像、担い手、原資の調達・信用補完の方法、公的支援の是非)について検討を行った。

事業結果
国内外の事例から、生活困窮者に対する相談支援とセットになった小口貸付は、家計再建のための有効な方策になり得ることがわかった。ただし、貸付機関にとって収益の期待できるものではないため、小口貸付を普及させるためには何らかの公的支援が必要になるであろうことも示唆された。その点、アイルランドやイギリスやフランスが政府のイニシアティブのもと、国を挙げての取組みを行っている事実には学ぶべきことが多い。
1955年以来、生活困窮者向けの貸付制度として機能してきた社協の生活福祉資金も相談支援とセットになった小口貸付の制度であるが、一定の年収以上は対象にしていない、借換えや借金の返済のための貸付は認めていない、ことから家計再建のための貸付制度としては限界があることがわかった。このため、生活福祉資金では対象としていない人達を対象とした新たな貸付制度(家計再建ローン)の必要性が確認された。
家計再建ローンの担い手として、生協や労金等、非営利の協同組織に期待がかかっているが、協同組織金融機関の多くは、ハイリスクの個人を対象にした与信ノウハウは持っていないため、現実的には難しい。また、原資の調達自体は金融機関にとって大きな問題ではなく、一番のネックは貸付に伴うリスクをどう低減するかである。その意味でも、国による債務保証等の公的支援策が必要という認識を金融機関は持っている。
家計再建ローンは、儲けが見込めないだけでなく、リスクが高いので、政府による債務保証がなければ民間の金融機関の取組みは難しいと「家計再建ローン研究会」の委員からは再三指摘された。しかし、債務保証はモラルハザードを招くこと、現時点では国としての財政出動が難しいことから、債務保証を前提としないスキームが模索された。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
報告書:我が国におけるマイクロファイナンス制度構築の可能性および実践の在り方に関する調査・研究事業

本件に関するお問い合わせ
創発戦略センター: 井上 岳一
TEL: 03-6833-2820   E-mail: rcdweb@ml.jri.co.jp
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