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自然資本(Natural Capital)を見える化する

2012年06月27日 足達英一郎


貨幣は適切に投融資を行えば、配当や利子を生む。特許は使用の対価として、特許料を獲得することができる。同様に、森林は木材資源を生み出し、海の生態系は漁業資源をもたらしてくれる。前者二つをそれぞれ金融資本、知識資本と呼ぶなら、後者の森林や海の生態系は自然資本と呼ぶことができる。

金融資本は、経済の構成要素としてはっきりと位置づけられており、また知識資本も近年、無体財産権などのかたちで企業のバランスシートに盛り込まれるようになってきた。それでは、自然資本はどうか。これまでは、排他性がなく、利用にコストが発生しなかったことから、経済活動の評価尺度にはなってこなかった。しかし、地球環境の危機が、人々の経済活動や健康被害といった目に見える脅威を生じさせてくると、資本劣化を見える化し、そのコストを明らかにする必要が生まれてくる。

6月16日、世界の37金融機関が「自然資本宣言(Natural Capital Declaration)」への署名を宣言した。ローン、投資、保険ポリシーなどの金融商品・サービスの意志決定プロセスに自然資本という考え方を統合する場合の方法論開発を支援することをうたっている。

具体的には「投資先企業の短期、中期、長期的成長の予測における ESG(環境、社会、ガバナンス)リスク分析に、自然資本の考え方を取り入れることで、債券や株式の評価に全体的アプローチを適用する」「コモディティーを含む、自然資本に直接的あるいはサプライ・チェーンを通じて間接的に多大な影響を与える特定セクターのクレジット・ポリシーに、自然資本を評価する考え方を体系的に取り入れる」などの動きが今後、現実化してこよう。

日本総合研究所では、これまで、「生物多様性の経済学(TEEB)」中間報告書の訳出や生物多様性企業応援ファンドのための企業調査などを通じて、当該分野の取り組みを進めてきた。今回の宣言発足を受けて、金融商品・サービスの意志決定プロセスに自然資本という考え方を統合する方法論の蓄積をさらに重ねていきたいと考えている。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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