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水と電力インフラの関係

2012年06月13日 梅津友朗


近年、原発再稼動の問題から電力利用に対する関心が高まっているが、電力利用と合わせて、水利用に関しても将来の在り方や効率的な利用方法について議論すべきと考える。水の利用には多大な電力を要しているからだ。例えば、東京都であれば、家庭部門の消費電力の約10分の1が上下水道分野で使用されている。様々な分野で節電が進む中、上下水道分野での電力消費を無視できなくなるのは明らかである。需要家の観点から見ても、今後、電力コストの上昇が水道コストの上昇につながる可能性もあり、人ごととは言えない状況である。

水利用と電力利用はこのように密接に関係しているが、インフラとしての形態に関しても共通点が多い。例えば、資源の確保が自然界に依存する点、資源を別の形に変えて利用する点、物理的に結ばれたネットワークを経由して供給される点、利用により環境への負荷が発生する点などである。こうした共通点を考えると、水利用の効率化のためには、電力利用の効率化で盛んに検討されている施策を転用することが有効であると言える。例えば、電力の需要制御理手法として定着しつつあるデマンドレスポンスの考え方は、水にも適用可能であり、水需要の平準化に役立つに違いない。

一方で、水と電力とでは「貯めやすさ」が異なる。電力の「貯めにくい」という欠点を、水の「貯めやすい」という長所により補うことを考えるべきである。揚水発電はその一例である。需要家が所有している貯水タンク等が活用できれば、さらに効率的に電力を水の形で貯留することが可能となり、電力消費の平準化に役立てることができる。

電力の改革が急ピッチで進む今、水と電力の関係性に着目することは有用と考える。効率化に資する施策を両者で並行して実行すると共に、一体的な管理により相互の効率を最大化する取り組みが求められる。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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