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東日本大震災被災企業の事業再生支援に民間資金の活用を

2011年09月20日

【要 旨】

1.東日本大震災から半年が経過し、被災地の企業活動に復活の兆しが見えてきたものの、未だ多くの企業は事業再開の目途が立たない状況にある。こうした状況が持続すれば、倒産に追い込まれる企業ばかりでなく、事業を再開していたとしても取引先の経営破綻から連鎖的に倒産する企業が増加する公算が大きい。さらに、企業倒産が相次げば、産業基盤および雇用基盤が喪失し、被災地の地域経済全体が衰退する可能性は否定できない。

2.背景として、地域の復興計画が不透明ななか、事業の先行きが見通せないことに加え、損壊した生産施設・設備の再建に必要な資金を新たに調達できないことが指摘される。これを踏まえ、被災企業に対する金融支援のポイントとして、(1)貸付のみならず投資(リスクマネー)を含めた資金供給、(2)企業再建に向けた計画策定や経営に対する支援と、これら支援を(3)面的・集中的に行うこと、の3点を挙げることができる。

3.これまでの公的金融支援をみると、貸付、融資環境の整備が中心のため、キャッシュフローが見込める企業など、利用企業が限定されるうえ、経営支援、面的・集中的な支援という観点からも十分とはいえない。先頃示された新たな企業再建支援体制についても、融資環境の整備が中心であり、これまで同様、利用できる企業は限定される。

4.このように、公的金融支援においてリスクマネーの提供や経営支援が十分ではないことを勘案すると、被災企業の再建を加速させるには、それら機能を有し公的金融支援を補完する仕組みが求められる。本稿では、この有効策の一つとして、一般投資家からの資金を積極的に活用した民間の企業再建ファンドの活用を提案したい。

5.こうした民間資金の活用によって、公的支援をよりリスクの高い企業に集中させることができるほか、再建支援の幅が広がり、より多くの企業が再建し地域経済の再生が加速されるばかりでなく、それによって将来は法人税などの増収も期待できる。もっとも、民間資金の活用には、これまでの企業再建に比べ高い企業の経営破綻リスクをいかに調整するかが課題となる。こうした課題は、民間の対応のみでは不十分であり、人件費補助といった再建の専門家の雇用支援や、投資家に対する時限的な税制優遇措置など政策的な後押しが必要である。

6.被災地復興に向けた今後の課題は、被災企業の事業再生をいかに地域経済の再生・活性化に繋げるかということである。被災企業の事業再開は震災からの復興への第1歩にすぎず、地域経済の復興・活性化には被災企業や地域産業の価値向上・持続的成長が必須である。被災企業に対しては、事業再開後も、地域の復興状況を踏まえ、経営の効率化・事業高度化に向けたきめ細かな支援の継続が不可欠といえよう。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 副主任研究員 星 貴子
TEL: 03-3288-5053
E-mail : hoshi.takako@jri.co.jp

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