Business & Economic Review 2011年8月号
【特集 2011~2012年世界経済改定見通し】
アメリカ経済見通し
2011年07月25日 村瀬拓人
1.景気の現状
─景気回復に変調の兆し─
アメリカ経済は、昨年後半に打ち出されたFRBによる量的緩和拡大(QE2)など積極的な景気テコ入れ策によって、持ち直しが明確化しつつあったものの、本年春以降景気減速を示す指標が目立ち始めている。
まず、家計部門では、昨年半ばから本年初にかけて、量的緩和拡大をきっかけとした株高などを背景に、消費者マインドの持ち直しが明確化した。カンファレンスボード消費者信頼感指数をみると、2010年9月を底に持ち直しに転じた後、2011年2月まで5カ月連続で上昇した。こうしたマインドの改善を背景に、個人消費の増勢も強まり、昨年10〜12月期の実質個人消費は、前期比年率+4.0%と2006年10〜12月期以来の高い伸びを記録した。もっとも、本年春以降は、原油・ガソリン価格の急騰などを背景に、消費者マインドは弱含みに転じ、実質個人消費の増加ペースも同+2%前後に鈍化している。