コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報

ニュースリリース

2011年年央米欧経済見通し
~失速は回避も、脆弱な景気回復が持続~

2011年06月27日

【要 約】

1.米欧経済は、昨年来の米国の量的緩和拡大に伴う株高などを背景に、今春にかけて持ち直し。その後、食料品・エネルギー価格の高騰やユーロ高など量的緩和拡大の副作用が顕在化し、景気は急減速。

2.先行きの米欧景気を見通すに当たり、ポイントとなる点をレビューすると、次の通り。

(1)米国
(イ)堅調な設備投資: 企業部門が底堅さを維持するなか、設備投資は堅調に推移し、景気を下支えする見通し。商業用不動産の建設も大幅減に歯止め。
(ロ)力強い拡大が期待できない個人消費: 個人消費は、雇用の増勢が維持されるなか、大きく冷え込む公算は小。もっとも、1)労働需給の緩和を受けた所得の伸び悩み、2)原油価格の高止まり、3)住宅価格の下落、が重石となり、力強い拡大は期待薄。
(ハ)重石となる歳出削減圧力: 財政が大幅に悪化するなか、連邦財政赤字の削減が避けられない情勢。州・地方政府では、今後人件費圧縮・インフラ投資抑制の動きが強まる見込み。

(2)欧州
(イ)欧州債務問題の行方: ギリシャ危機が再燃。その対応を巡り意見対立があるものの、最終的にはギリシャの更なる財政赤字削減を条件にEU・IMFが追加支援を行い、ユーロ圏景気に深刻な悪影響が及ぶ事態は避けられる見通し。一方、スペインへの危機波及リスクは引き続き残存。
(ロ)ドイツ経済の牽引力: ユーロ圏高成長の原動力となっているドイツの輸出は、ユーロ高の影響を受け増勢鈍化へ。これに伴い、設備投資も頭打ちとなり、域内景気を牽引する力は弱まる見通し。
(ハ)低迷が長期化するPIGS諸国: 今後ドイツ向け輸出の増勢鈍化が見込まれるほか、スペイン等では緊縮財政による景気下押し圧力が一段と強まる見込み。
(ニ)低迷が続く英国経済: 雇用改善の遅れを受け賃金が伸び悩む一方、インフレ率が高騰しており、実質賃金は減少が持続。バランスシート調整も道半ばで、個人消費は低迷が長期化する見通し。

3.以上を踏まえ、米欧経済の見通しは以下の通り。
(イ)米国: 新興国向け輸出の増加と製造業を中心とした設備投資が景気下支えに作用。もっとも、所得環境の低迷持続等を背景に個人消費の力強い拡大は期待し難いほか、歳出削減も景気下押しに作用するため、緩やかな成長にとどまる見通し。
(ロ)欧州: ユーロ圏では、新興国向け輸出が引き続き景気を下支えするものの、ユーロ高による輸出抑制効果、域内各国での緊縮財政、インフレ率高止まりを受けた実質購買力の低下、などを背景に、2012年春にかけて景気は減速していく見通し。英国でも、家計のバランスシート調整が続くなか、緊縮財政、インフレ率の高止まり等を背景に、2012年春にかけて個人消費を中心に景気は一段と減速していく見通し。

4.上記見通しに対するリスクは、原油価格の一段の高騰。実質購買力の低下や所得の海外流出等を通じて、景気が大きく下押しされる恐れ。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 牧田 健
TEL: 03-3288-4244
E-mail: makita.takeshi@jri.co.jp

会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ