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中国市場における地域展開の視点

2011年06月07日 松岡靖晃


2011年から始まった第12次5カ年計画では、消費主導型への成長方式に転換し年平均7%の巡航速度での成長を目指していくことが示された。西部大開発や東北振興などの主要地域振興策は今回の計画でも継続され、内陸部が国の成長を牽引することが期待されている。

日本企業は上海、北京のような沿岸部大都市に進出、その後重慶、成都のような内陸部大都市に展開する企業が多い。自社の商品・サービスを受け入れる消費者がこれら大都市に集中しており、地域展開のステップとして当然の成り行きであろう。内陸部大都市の展開に一定のめどが立ち、現地化も進んだ企業のその後の地域展開は、内陸部の複数の都市を一気におさえていく面展開が定石と考える。その際、既に需要が見込める成長した大都市だけでなく、今後成長が期待される中小都市の需要をいかに取り込んでいくかが面展開のポイントになる。

第12次5カ年計画の期間中、急激に成長する地方中小都市が次々に出現することが予想される。農村人口の都市移転促進施策を実行しつつ、巨大都市の過度な拡張防止を実現する解決策として、当局が地方中小都市の成長を促す施策に注力する思惑が見て取れるからだ。既に新たな人口増加を見越した都市建設がされ始めている地域もある。内陸部の郷・鎮や農村で生活する人々にインタビューしても、故郷から遠く離れた大都市への出稼ぎよりも近隣都市への出稼ぎを希望する住民、近隣都市への移住を希望する住民が多い。従来ターゲットとしてきた自社の商品・サービスを受け入れる消費者だけでなく、このような都市に流入してくる人々を潜在顧客として捉えることで差別性の高い地域展開戦略を立案することも一考であろう。

国・地方政府の都市計画、周辺大都市と中小都市の物理的・心理的位置関係、農村人口の移転政策等、急激に成長する地方中小都市を特定する指標は幾つか存在する。これら指標を愚直に分析し、ポテンシャルの高い中小都市を特定した上での地域展開戦略の検討をしてはいかがだろうか。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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