コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

Business & Economic Review 2011年6月号

中小製造企業の経済グローバル化への対応策に関する一考察

2011年05月25日 佐藤浩介


要約

  1. 1990年代以降、わが国中小企業の業況は経済グローバル化の影響を受けて大手企業に比べて厳しい状況が続いている。もっとも、経済グローバル化は、地理的に近いアジア諸国に新たなビジネスチャンスを生みだすというプラスの側面も持っている。本稿では、経済グローバル化の影響をとりわけ強く受ける中小製造企業の対応の状況を概観したうえで、どのような対応策が有効なのかについて、東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター保有のデータを活用した分析からインプリケーションを導くこととする。


  2. 中小製造企業のグローバル化への対応策は、まず「国内市場における対応策」と「海外展開による対応策」に大別できる。さらに、国内市場における対応策は、高付加価値化戦略、差別化・ニッチ化戦略、新技術・新製品の開発戦略の三つに、海外展開による対応策は、輸出戦略と海外進出戦略の二つに細分化される。


  3. これらの定義を踏まえ、まず第1段階として、企業の規模といった企業それぞれがもつ属性や方策によってどのグローバル化対応戦略が取り組まれる傾向にあるのかについて、続いて第2段階として、どのような企業の属性や方策が五つの戦略の成否に影響するのかについて分析を行った。


  4. 分析結果のインプリケーションとして、中小製造企業によるグローバル化対応戦略あり方について、以下の3点を指摘できる。
    (1)国内人口の減少に伴って海外販路の開拓が企業規模にかかわらず重要な戦略となるなか、規模の小さい企業でも、現地でのアライアンスを組む等、工夫次第で海外展開で成功を収めることは可能である。

    (2)多くの企業が研究開発機能の強化に取り組んでいるだけに、各企業が競争を勝ち抜くには、研究開発への注力を前提としたうえで、プラス・アルファの対応が求められる。

    (3)海外に通用する製品を開発するには、他社に真似できない自社製品のユニークさが重要であり、それを最終的に生み出すのは創業以来社員が引き継いできた技能であり、それを継承・発展していく人材である。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ