Business & Economic Review 2010年10月号 【特集 アメリカの中間選挙以降の政策課題】 アメリカ財政赤字の持続可能性を探る 2010年09月24日 下田裕介1.はじめに2008年秋の金融危機に端を発した景気悪化を受けて、オバマ大統領は就任直後から大規模な景気対策を打ち出した。これにより景気の底割れは回避されたものの、連邦政府の財政赤字は未曾有の規模に拡大している。こうした状況下、財政の悪化が国債価格の下落を招来し、長期金利が急上昇するといった、いわゆる「悪い金利上昇」にはいまのところ至っていないものの、世界最大の経済大国であるアメリカにおいて、今後も順調な国債消化と長期金利の安定推移が続くか否かは、世界経済の行方を左右する重要な要因である。そして、財政リスクに対して当局がいかに向き合っていくのかは、アメリカ国内に限らず世界的な関心事項である。