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Business & Economic Review 1995年09月号

【戦後50年特集 論文】
公害経験から真に学ぶべきものは何か-地球環境問題に立ち向かう視点

1995年08月25日 事業企画部 足達英一郎


21世紀は、明らかに人口爆発と環境問題が人類の最大の課題になろう。一昨年には、環境基本法が、昨年には国の環境基本計画もできあがった。しかし、わが国においては、地球環境問題が漠然と問題視されているだけで、具体的なアクションが構想されたり、ましてや実行される機運に乏しい。その理由はわが国の過去の公害問題とそれへの対処の認識に起因しているという仮説を提起する。

具体的には、公害問題が「加害と被害」、「企業と住民」という単純な構図で理解されたこと、今日、公害問題は克服されたと認識される傾向が強いことから、固定的な思考パターンが形成されてしまったことを指摘する。このため、地球環境問題において「敵=加害者」を発見できず、地球規模の問題であるが故に「科学技術の適用」を容易にイメージできないという落し穴に陥っている。

地球環境問題に立ち向かう視点とは「人間ひとりひとりが環境負荷である」という認識であり、つまるところライフスタイルを変革し、大量生産、大量消費、大量廃棄を各々抑制する自覚と行動に他ならない。

そのためには、環境保全コストを内部化した社会経済システムを政策誘導により率先して構築することが急務である。この際、個人の選択の結果として、消費活動を抑制する行動に対してはインセンティブを与える(逆にいえば消費活動を抑制しない行動に対しては大きなコストを課す)ことが、「ひとりひとりが環境負荷である」という認識を共有するのに最も有効な方法であろう。この点で、経済的措置(税・課徴金、補助金、排出権取引)などの導入を早急に検討すべきである。その上で、環境産業の育成・振興、分散的国土の形成、環境教育/環境学習の推進などを積極的に進めるべきことを提起する。
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