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Sohatsu Eyes

スマート・コミュニティ・コンソーシアム(SCC2003)

2003年09月09日 宍戸朗


これまでごみ問題といえば、焼却炉のダイオキシン問題や埋立処分場の周辺環境への問題などが、地域環境に与える影響が問題となってきました。このような問題への対策が進む中で、現在、大きな問題となっているのは、ごみ処理事業の財政負担の問題です。

ごみ処理事業にかかる費用は年々増加の一途をたどり、財政難の自治体経営を圧迫する要因の1つとなっています。大きく3つの問題を挙げることができます。

第1は、収集運搬費用です。容器包装リサイクル法が施行され、分別回収が進む一方で、多岐に及ぶ分別が住民の分別負担に加え、収集運搬費用の増大をもたらしています。リサイクルには、焼却や埋立よりもずっと多くの費用がかかっているのが現状です。

第2は、中間処理費用です。ダイオキシンの新基準に適合するため多くの自治体で炉の立替が行われ、中間処理のための費用は年々増大しています。特に焼却施設は後年度に維持管理費や補修費が嵩むという一般的な傾向があります。

第3は、焼却炉の解体費用です。ダイオキシンの新基準に適合しない焼却炉が廃止され、今後広域化により炉の集約化が進む中で、解体が必要な焼却炉は数百とも言われています。解体基準が強化され、今では解体費用は建設費の1割位かかると言われています。これは自治体にとっての「環境負債」ともいえます。

リサイクルを推進し、廃棄物の適正処理を行うことはもちろん重要ですが、経済性と環境性の両方の側面から効果的なしくみを考えていく必要があります。例えば、エネルギーの分野では、省エネとコスト削減を同時に実現するESCO事業が盛んですが、廃棄物の分野でも、廃棄物処理費用を削減し、リサイクル率の向上を図る新しいビジネスが考えられないでしょうか。

1997年度から活動を行っているSCC(スマート・コミュニティ・コンソーシアム)では、廃棄物処理の中間処理を民間事業の創意工夫に委ねることで、コスト削減と質の向上の両方を実現する、PFIや長期責任委託等の新しい事業方式の実践を図ってきました。

今年度のSCC2003では、処理施設の運営にとどまらず、自治体の廃棄物行政に民間事業者の創意工夫を生かす新たなビジネスの創出を目指した活動を実施しています。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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