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Sohatsu Eyes

廃棄物マネジメントビジネス

2004年08月24日 宍戸朗


去る8月3日、政府の規制改革・民間解放推進会議の中間とりまとめが出されました。
この目玉は「市場化テスト」の導入を提言しているところにあります。「市場化テスト」とは、公共サービスの提供について、官民が対等な立場で競争し、価格・質の両面で優れた側が落札する制度です。この制度は、米国や英国、オーストラリアなど多くの国で実施され、大きな効果をあげています。

日本でも公共サービスの民間解放が進むことで、公共サービスの提供を業とする新たな産業が生まれることが期待されます。これまでも公共サービスの民間委託はなされていましたが、単純な労務の提供といった形態が殆どでした。事業の管理は公共が実施しており、民間にはノウハウが蓄積されることもなく、大きな産業が生まれるには至りませんでした。しかし、民間が公共サービスの担い手となり、事業全体の管理を行うことで利益を上げられるようになれば、様々なビジネスチャンスが生まれると考えられます。
市場化テストは、まだ国レベルでの導入が検討されているにすぎませんが、自治体に導入されれば様々な分野の産業が創出されると考えられます。私が中心的に取り組んでいる廃棄物分野でも、この数年のうちに、「廃棄物マネジメント事業者」と呼ばれる企業が活躍するようになるのではないかと注目しています。
世界的には、廃棄物の分野は民間解放が進んでおり、「廃棄物マネジメントビジネス」は有望市場と捉えられています。英国では、1990年代から市場化テストの導入等により、ごみ収集や処理の民間開放が進んでおり、最近では、地域の廃棄物管理を一括して民間に委ねる「総合ごみ管理」という手法も導入されています。

日本では、まだ廃棄物マネジメントビジネスという業態自体が存在していませんが、近年では公共関与型の産廃処理事業で、大手の資本が事業に参画する動きもあり、民間開放された場合の受け皿は整ってきているといえます。

このような官民の競争や協働に関する様々な手法が日本においても適切に機能し効果をあげるよう、官民双方を支援し新たな産業づくりに貢献したいと思います。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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