コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

エコシティの意義

2009年11月25日 宍戸朗


 現在、世界の様々な国で環境都市(エコシティ)の建設が計画されています。特に、経済発展の著しい国において、低炭素や資源循環、環境負荷の低減等の面で徹底的に配慮した都市を新たに建設する取り組みが注目を集めています。
 このようなエコシティには次のような特徴があります。

 1点目は、ハード、ソフトの両面での環境配慮型の都市であることです。再生可能エネルギーや省エネルギーの技術の活用だけでなく、施設の配置や機能の工夫により環境配慮型の生活スタイルを追求することができます。
 2点目は、最適なシステムの追求ができることです。既存の都市では、思い切ったインフラ整備やルールづくりが難しく、資源の循環利用等の障害となっている場合があります。一方、新たに開発する都市の場合、最適な施設配置や新技術の一斉導入など、個別の取り組みだけでは難しい効率的な取り組みが可能です。
 3点目は、地域内で多くの機能が完結できることです。工業団地やニュータウンのような居住地単体の機能だけでなく、住宅、商業、産業、公共施設等の機能のバランスの取れた街をつくることができ、地産地消型の社会が実現できます。

 こうしたエコシティの計画が一斉に進んでいるのが中国です。中国では、「生態城」と呼ばれる新都市が各地で計画されています。この中で最も注目されているのが、天津市で建設中の「中新天津生態城」です。以前もこの欄でご紹介したことがありますが、濱海新区という経済成長の著しいエリアに立地し、中国政府とシンガポール政府の合意に基づき進められている国家級プロジェクトです。2010年に35万人の人口を目標としており、規模の面でも進捗の面でも、中国国内でのリーディングプロジェクトといえます。
 エコシティは、環境に配慮するという本来の目的だけでなく、都市のブランド化に役立つものと考えられます。また、エコシティは、単に都市の建設だけで実現するものではなく、住民や企業が主体となって価値を維持し高めていくことが必要です。エコシティの住民や企業であることは環境意識が高いことのみならず、ESG(環境・社会・ガバナンス)の側面からも高い水準であることの証となるとも考えられます。

 このようにエコシティは、今後の都市を考える上で大変興味深いものだと思います。日本総研では、具体プロジェクトを通じて、今後もこうしたエコシティの取り組みを支援していきます。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ