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《 2009~10年度見通し 》
低迷が持続するわが国経済
- 2010年前半は再びマイナス成長に-

2009年11月18日

【要 約】

(1)わが国経済は、2009年3月を底に、緩やかな回復が持続。もっとも、以下の4点を勘案すれば、景気回復トレンドが定着したと判断するのは時期尚早。
  ①景気回復の牽引役は内外の景気刺激策であり、ファンダメンタルズは依然として下り坂。
  ②経済活動水準でみても、ようやく過去の景気後退局面のボトム水準に戻った程度。不況感は根強く残存。
  ③主要国と比べても、わが国は最も低いパフォーマンス。円高が主因。
  ④足元の景気頭打ち・悪化を示唆する経済指標。

(2)海外経済を展望すると、米国経済は、商業用不動産価格の下落、金融機関の不良債権問題、家計のバランスシート問題など様々な構造問題に解消のメドが立っていないため、低迷が長期化。中国経済は、内需を牽引役に成長率は高まる方向。もっとも、わが国の中国向け輸出は、内需向けよりも、「世界の工場」に対する部品・生産設備が中心であるため、中国向け輸出の牽引力に過度の期待は禁物。
 さらに、リーマン・ショック後の急激な円高によるマイナス影響が2010年末まで残存。輸出の伸びは鈍化する公算大。

(3)国内経済を展望すると、三つの調整圧力がマイナス影響。
  ①デフレ圧力
    足元のGDPギャップは▲6%前後。大幅な需要不足により低価格競争が広がるため、消費者物価の下落傾向が長期化。企業の売上高がさらに下振れ。
  ②設備投資調整圧力
    設備過剰感が過去最高水準で高止まっているため、設備投資の低迷は長期化。とりわけ製造業。内閣府のアンケートでも、製造業の中期的な設備投資計画は大幅マイナスに。
  ③人件費調整圧力
    雇用過剰感の急上昇を背景に、人件費を削減する動きが本格化。就業者数は、今後1年間でさらに150万人減少する可能性。また、ボーナスを中心に、給与の減少傾向も持続。

(4)政策面では、前政権による景気対策効果が息切れし、2010年入り後から景気押し下げに作用。とりわけ公共投資。2010年4~6月期には、自動車・薄型テレビが大幅減少の可能性。
 2010年度入り後、新政権の政策により、家計の所得は大幅に増加し、個人消費の下支え要因に。もっとも、財源確保のために政府支出が減少するため、ネットの景気押し上げ効果は限定的。2010年度のGDP押し上げ効果は0.1%ポイント、2011年度は0.3%ポイントと試算。

(5)以上を踏まえれば、内外需要の低迷、政策効果の牽引力低下を背景に、2010年前半に景気は再びマイナス成長に転じる見通し。年後半は家計に対する所得支援策が奏功してマイナス成長からは脱するものの、回復力は脆弱。この結果、2010年度の成長率は▲0.1%と、3年連続のマイナス成長となる見通し。
 さらに、欧米経済の失速、資源価格の高騰、円高などのマイナス圧力が強まれば、景気後退色がさらに強まる恐れ。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社 日本総合研究所 調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 枩村 秀樹
TEL : 03-3288-4524
E-mail : matsumura.hideki@jri.co.jp

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