リサーチ・フォーカス No.2025-054 地方公務員不足で重要度が増す行政サービスの共同・広域化-求められる自治体の役割分担と権限・財源の再構築- 2026年01月15日 蜂屋勝弘今後の人口減少を受けて、地方公務員不足の深刻化が懸念される。仮に、生産年齢人口に占める地方公務員の割合が変わらないとの前提で、現在と同程度の行政サービスを維持しようとすると、市町村全体で必要な公務員数(需要)に対して確保できる公務員数(供給)は、2030 年の約 92%(充足率)から 2045 年には 78%程度まで低下し、さらに、小規模自治体ほど地方公務員不足が深刻になると予想される。こうしたなか、必要な行政サービスを提供し続けるための方策の一つとして、複数の自治体による共同・広域での提供が有力視されている。実際、共同・広域での行政サービスの提供は、既に、「事務の委託」や「一部事務組合」、「連携協約」等の共同処理制度を通じて全国各地で行われている。もっとも、行政サービスの共同化・広域化の進捗には都道府県間で差がある。仮に、全ての都道府県での取り組みが、最も進んだ県の水準まで進捗すると、全国合計で1万人強(人口 10 万人未満の市町村の公務員数の約3%に相当)の省力化が進むと試算される。共同化・広域化の手法の一つとして、市町村合併も選択肢に入るものの、2000 年代に取り組まれた「平成の合併」では、①行政に地元の声が届きにくくなった、②伝統・文化や歴史的な地名が喪失した等のデメリットが指摘されており、さらに、税収が比較的豊富な財政力が強い自治体等では合併に前向きではない可能性を勘案すると、大幅な進捗は期待し難いだろう。まずは、行政サービスごとの共同化・広域化の深化に取り組むことが現実的とみられ、その際には、①地域の大都市を中心にした各市町村の連携と役割分担、②小規模自治体から都道府県への事務委託、さらには、権限や財源の移譲がポイントとなろう。大都市や都道府県が、既存の基礎自治体の枠を超えた広域での行政サービスの主要な担い手になれるように、地方自治体の役割分担と権限・財源配分の再構築が求められる。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)