リサーチ・アイ No.2025-124
量的引き締め(QT)後の短期金融市場の逼迫を受けたFRBの対応 ~ FRBは短期金融市場の安定を目的に短期国債(Tビル)の購入を決定 ~
2025年12月25日 桂田健吾
米連邦準備制度理事会(FRB)は本年12月9~10日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、同月からの短期国債(財務省短期証券:Tビル)購入を決定。FRBは本措置について金融政策の変更(金融緩和)ではなく、準備預金の水準維持を目的とした技術的対応と説明。
FRBが20年に量的緩和(QE)を開始して以降、短期金融市場では過剰流動性と金利低下が進行。通常、Tビル等で運用されるMMFはTビル金利の低下等を受けて、リバースレポの活用を拡大。一方、22年からの量的引締(QT)局面では、Tビル金利が上昇し、リバースレポとの利回り差が広がったことで、MMFのリバースレポ利用は減少。
QTによるFRBのバランスシート縮小の過程では、リバースレポ残高の減少が先行。足元では同残高がほぼゼロとなったほか、準備預金も減少。この結果、金融機関の資金供給余力が低下したことで、短期金融市場の流動性はタイト化し、レポ金利(SOFR等)のボラティリティが上昇。SOFRは一時、FF金利の誘導目標上限を超過。
レポ金利のボラティリティ上昇は、短期金融市場における調達コストの増加や担保価値の減価など、取引条件の悪化に直結。国債を担保にレバレッジ取引を行う投資家では、ポジションを維持できず、強制清算に追い込まれるケースも想定されるなど、市場の不安定化につながるリスクもあるだけに、今回のFRBによる措置が、短期金融市場の安定につながるか要注視。
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