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リサーチ・アイ No.2025-117

米国のベネズエラ攻撃が原油市場に及ぼす影響は限定的 ― ただし、周辺国やパナマ運河の石油輸送に波及すれば、10ドル強の価格上昇も ―

2025年12月10日 栂野裕貴


米国とベネズエラの関係が緊迫化。米国に流入する不法移民や麻薬への対策が不十分であることなどを背景に、米国がベネズエラへの軍事圧力を強めていることが主因。12月入り後には、トランプ大統領が地上攻撃を間もなく開始すると発言。これを受けて、ベネズエラからの石油供給が滞るとの懸念が浮上。

もっとも、米国の攻撃が原油市場に及ぼす直接的な影響は軽微となる公算。ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を誇るものの、近年の政治・経済情勢の混乱などから開発投資が進んでおらず、生産量は世界供給の1%に過ぎず。石油需給バランスと価格の関係を踏まえると、仮にベネズエラの生産がゼロになったとしても、価格押し上げ効果は3ドルと小。

ただし、ベネズエラの周辺国における石油生産や海上石油輸送の要衝であるパナマ運河に影響が及ぶ事態に至れば、価格上昇圧力が高まる公算大。仮に、ベネズエラに加えて、隣国のガイアナ・コロンビアの石油供給が途絶し、パナマ運河の石油輸送もゼロとなる場合、原油価格の押し上げ効果が12ドルに拡大するリスク。

わが国はベネズエラから石油を輸入しておらず、同国の供給が途絶した場合に受けるマイナス影響は限定的。もっとも、原油価格が12ドル上昇するリスクシナリオでは、消費者物価が+0.2%ポイント上振れ、実質GDPが▲0.1%ポイント下振れる可能性。


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