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リサーチ・フォーカス No.2025-049

暗号資産市場の動向とトランプ政権における政策転換

2025年11月18日 谷口栄治


米トランプ政権は、暗号資産に関して、バイデン政権における規制強化の方針から融和的な政策姿勢に転換。それを受けて、ビットコイン価格は最高値を更新するなど、暗号資産市場は活況。

トランプ政権では、①暗号資産等に関する作業部会の設置、②ビットコインをはじめとする暗号資産の戦略備蓄の検討、③暗号資産に係る規制・監督態勢の明確化(クラリティ法)、④米ドル建てステーブルコインに係る法整備、⑤中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討中止、⑥暗号資産業界に対する金融機関の不当な取り扱い(デバンキング)の禁止、⑦企業型確定拠出年金(401k)における暗号資産を含むオルタナティブ投資の促進等、矢継ぎ早に政策を推進。

なかでもステーブルコインの法整備については、本年7月、「ジーニアス法(GENIUSAct)」が成立。決済用ステーブルコインについて、発行者を銀行子会社や事業会社に限定したうえで連邦当局・州当局の監督対象とする、ステーブルコインの裏付資産を預金や短期国債に限定し、その内訳を毎月開示する、既存金融機関(銀行等)と同様のマネーロンダリング規制を遵守する、といった要件を規定。

トランプ政権での暗号資産政策の転換を受けて、本邦金融セクターとして、以下の2点に留意する必要。

① 暗号資産市場の拡大に伴う金融市場や金融システムとの連関性の高まり
暗号資産投資に踏み切る投資家の裾野が拡大するなか、株式市場等の伝統的な金融市場との連関性が向上。暗号資産価格下落による金融市場や金融システムに及ぼす影響を注視するとともに、暗号資産事業者のリスク管理・ガバナンスに対する監督強化が必要に。

② ステーブルコインの利用拡大を受けた変化とリスク
ジーニアス法の成立を機に、ステーブルコインの利用拡大が期待される一方、国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)は、価格の安定性や償還急増(取り付け騒ぎ)時の金融リスク、新興国・途上国における通貨主権の喪失といった課題を指摘。本邦金融セクターとしては、米国におけるステーブルコインの活用・普及状況や、ステーブルコインに関する国際的な議論を踏まえた対応が必要に。


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